用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【静岡県】空自 浜松広報館(その4、その他)

<編集履歴> 26Mar.2021公開、04Aug.2022見直し更新(第10回目、記事の容量が増えたので屋外展示機・屋内展示機・格納保管機・その他の4記事に分割した)

 

<解説General>

(1) この記事では浜松広報館の基本情報・屋外展示機・屋内展示機。格納保管以外の話題について記します浜松広報館の基本的な情報(開館時間など)は「空自 浜松広報館(その1、屋外展示機)」にて紹介しますのでそちらを参照ください。

・浜松広報館の基本情報と屋外展示機の紹介について:

【静岡県】空自 浜松広報館(その1、屋外展示機) - 用廃機ハンターが行く!

・屋内展示機について:

【静岡県】空自 浜松広報館(その2、屋内展示機) - 用廃機ハンターが行く!

・格納保管機について:

【静岡県】空自 浜松広報館(その3、格納保管機) - 用廃機ハンターが行く!

・参考:公式HPのURL:

エアーパーク // 航空自衛隊浜松広報館

 

【実機展示】

 浜松広報館では年に2~3回程度、展示格納庫前のエプロンに実機を展示するイベントを行っている。展示機は主として浜松基地所属部隊が有する機体(T-4, T-7, T-400, U-125A, UH-60J, F-2, F-15)のうちの1~2機程度だが、過去には岐阜基地のC-1FTBや百里基地からRF-4Eが飛来して展示されたこともある。展示機は通常は基地格納庫から牽引車に引かれて移動されるが、イベント内容によってはエンジンをかけて自走したり、自走はしないもののエンジンを実際に始動させることもある。運が良ければ公開イベント中にE-767の離着陸が見られることもあるので、なかなか目が離せないイベントだ。

 

写真1-1,-2,-3,-4 実機展示イベントの様子あれこれ。展示機は午前中に撮影すると良い光線条件となるように配置されることが多いように思うが、決まっているワケではない。

 

【2021年3月のリニューアル】

 浜松広報館では2021年3月8~12日にかけて展示機の入替えとリニューアル工事を行った(一部展示物の工事は年度末まで継続実施)。これにより新規にF-4EJ改とT-4BI機を展示(搬入は3月9日)し、8機を保管機として展示場から撤去した(3月9~10日)。また展示内容は次のように変更された。

1.歴代のブルーインパルス使用機(F-86F、T-2、T-4)を並べ、ブルーインパルス解説コーナーを設けた。

2.歴代の戦闘機(F-86D、F-104J、F-1、F-4EJ改)を並べて展示し、防衛の最前線を見せるようにした。試験機塗装であったF-2FSM(Full scall mock up:機体開発時に大きさや作業性などを体感として確認するために制作した実物大模型)を標準塗装に変更したのは、この目的のためだろうと思っている。

3.先代の救難機(MU-2およびKV-107)を展示し、航空救難(および災害派遣)について見せるようにした。

4.バンパイア、T-28B、T-1Aを撤去することにより戦後の国産航空機開発に関する事項の展示をとりやめた。

5.T-6、T-1A、T-33Aを撤去することにより、パイロット養成の歴史に関する展示を縮小させた。なお展示機T-34A、T-3、T-4、T-2が残るため教育体系の説明は可能だが、T-2およびT-4はブルーインパルス塗装機であり、「説明できる」とは苦しい表現だと思う。

6. H-19CおよびS-62Jヘリコプターを撤去することにより空自における(救難)ヘリコプターの変遷(歴史)に関する展示を取りやめた。 

※私個人としてはこのリニューアルによって、航空機開発やパイロット養成の歴史など過去の実や記録に関する展示が失われて「極めて表面的な・・・、上っ面だけのショールーム」になったような気がしている。

 

【格納された機体の今後】

 2021年3月末時点の浜松広報館HPのTopには「展示格納庫から搬出をした8機の航空機につきましては、再展示の準備が整うまでの間、基地内の格納庫内にて大切に保管します。」との一文が添えられています。「再展示の準備が整う」のはいつになるかは全く判りませんが、野ざらし・ブルーシート梱包→そのうち廃棄という流れは当面避けられたようです。この言葉を信じ(注、後述する「広報の失態」参照)、「再展示の準備が整う」日を待ちたいと思います。

 さて浜松広報館の拡張(仮称”第二展示格納庫の建設”)については「検討はしている」様子ですが、どの程度の「検討」を行っているかは外部の者にとっては全く判りません。2021年8月末ごろの2022年度予算概算要求に盛り込めるのでしょうか?仮に2022年度予算で認められたとしても整地・建設を経て、格納された機体が再び展示されるのは”早くても”建設着手から2年後、すなわち最速で2024年度になるものと私は予想しています(まぁ2026年度までにできれば良い方だろうなぁ、というのが本音ベースですが)。もちろん「検討の結果、増設はしない」ということもあり得る話です。関係者のご尽力に期待しております。なお2026年ごろというと川崎C-1中型輸送機の全機退役を控えた時期となるワケですが、一機丸々と展示されますでしょうかね・・・?

(注:2022年度概算要求書に関係する予算は読み取ることができなかった。)

 

【広報の失態】

 移動された機体の扱いについては前述のとおり浜松基地公式ページにて「移動した航空機は格納して大切に保存します」と発信していたが、遅くとも3月28日までは(どこにあったのかチップタンクの無いT-33Aと一緒に)屋外の旧ハーモエリアに置かれていた。これは広報としては一番やってはいけないことをやってしまった!恐らくは当時基地内で行われたアメリカで発生した練習生墜死事案の部隊葬を行うための場所を確保するためだろうと思うし、その状況は理解できる。しかし広報の「業務」としては「大切に保存します」といったそばから機体を屋外に放置したことは許されることではない。堂々と「嘘」を発信したのだ。ここでは「ただし基地内の都合により、準備が整うまでは屋外に置きます」という旨の一文を発するべきであった。当時は公式Twitterもあったので、やりようはいくらでもあったろうが、それらは行われていない(少なくとも私自身は目にしていない)。

 航空自衛隊の広報館という広報の最前線となる部署でさえ、現実とは異なることを発信し続けていたという事実はマニアの間で広報に対する不信感を一気に高める結果を生んでしまった。基地祭で「本日はもう帰投する機体はありません」とアナウンスしながら脇でエンジンをかける機体があるのと同じで、もう誰も言うコトは聞こうとしなくなる。

 広報業務に携わる方は広報とは関係ない部署から異動してきて3年ほどすれば次の職場へと転出するため、細かいことは引継ぎが行われずに忘れ去られてしまうことが多いので一言書いて残しておきたい。「広報は嘘を発信してはいけない。できないことは発信せずに黙っていなさい。結果として嘘となった場合には直ちに経緯もしくは修正報告を発表しなさい。」と。

 一度失った信用を取り戻すのは大変ですよ。狼が来た!と言い続けた少年は最後にどうなったか。キチンと正しい情報を発信しているな、と認められるまでは真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 さて屋外に置かれていた機体は2021年4月5日には全機が格納庫内に入れられたようです(ただし、どこから持ってきたのか判らない、一緒に置いてあったチップタンクの無いT-33Aを除く)。

以上