2022年1月18日付中日新聞は、あいち航空ミュージアムにT-4ブルーインパルス機(用廃機)を展示する考えがあることを報じた。2022年11月に五周年を迎える同館の入館者数の増加を目指し、2022年度当初予算案に必要経費として約7,900万円を計上するとのことだ。あくまで「予算”案”に計上」なので、議会でこの予算”案”が認められるかどうかは分らないというのが現状だ。
機体自体は本Blogの各所で述べている通り単年契約で無償で借り受けるが、このほかに松島基地(宮城県)からの輸送費や展示のための塗装費、メーターなど不足する部分の装飾費がかかるそうな。
・参考: 機体を借り受ける際に適用される法令についてはこちらに記載があるぞ。
「物品の無償貸付及び譲与等に関する法律」を受けて「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」があり、これに従って手続きが行われるのだ。
法、規則、訓令、達などを確認しよう - 用廃機ハンターが行く!
なお記事によると県議会にて「飛んでいない機体の展示で集客できるのか」と疑問の声も出ているとのことだが、発言をそのまま受け取ると博物館そのものの設立意義を見失うことになる。メディアが都合の良い部分のみを「報道する側の自由」として切り取って記事に引用するのは常套手段なので、発言の際の状況を正しく把握すべく議会議事録をじっくり読んでみるのも面白いだろう(ましてや中日新聞なので、この辺はしっかりと確認して置くべきだと考える)。
→愛知県は県議会議事録や予算案をネットで公開しているのかな?まずはそこから調べなくっちゃ。
個人的にはブルーインパルスT-4(川崎重工製)を展示する前に、お隣にある三菱重工製のT-2初号機やHSS-2B初号機、それに「三菱で製造した」F-86FとF-104Jを借りてきて展示した方が、地域としても盛り上がると思うのだけれどねぇ。あいち航空ミュージアムの費用で松島基地から「川崎製T-4」を岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に搬入し、代わりに「三菱製T-2B.I.」を持ってくるというトレードを行えば地域色を出せるのに、などとも思う(でも、やっぱりT-2初号機を展示して欲しいな)。
F-4EJ初号機(これはアメリカ製だが・・・)を岐阜から持ってきて展示する予算よりも松島からT-4を持ってきた方が安く、集客効果が高いと考えたのだろう・・・な?
また入場者増(入場料金収入の増加)を考えるなら、入場料金を半額~1/3程度にしてリピーター増を狙った方が良いと思うぞ。ショッピングセンターに隣接しているのだから、「ちょっと見ていこうか」という需要を考えた方が良いと思うぞ。せめて「県民割引」を導入すればと考えるのだがねぇ。
【愛知県】あいち航空ミュージアム - 用廃機ハンターが行く!
【愛知県】三菱重工業(株)小牧南工場の展示機 - 用廃機ハンターが行く!
ついでに書いておくと、展示に関する長期ビジョンがしっかりしていればYS-11Pの展示の時と同様にT-4の最終フライトで小牧基地に飛んできてもらい、装備を外して展示機にすることはできたハズ。それだけで1~2千万円は浮いたハズだがなぁ。
以上