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【中国の展示機】”東風”シリーズ

<編集履歴> 14Dec.2021公開、17Dec.2021見直し更新(第1回目、写真追加)

 

 东风(東風、読みやすさから、この記事内では日本語表記とする)シリーズは中国内で1940年代末期ごろから50年代中期にかけてMiG-17とMiG-19系統の国内生産機およびその独自開発機に付与されていた名称だ。日本語的な感覚だとプロジェクト名称(およびそのプロジェクトの成果である機体の名称)と考えて良いだろう。"東風***”というプロジェクト名は101~107、109、113までが知られているが、機体製造まで進んだのは東風101、102、103、105の4機種だ。のちに歼5と改称される東風101を除くMiG-19系統の東風102、103、105はいずれも設計上の問題と品質上の問題があり、少数機を生産しただけで終わっている。次世代機となる歼7シリーズに対しては「東風」プロジェクト名は付与されていないようだ。

 機体名称は制式化の際に”**式*型”となり、さらに1964年11月に呼称改称が行われて歼5(東風101、56式)や歼6甲(東風103、59式甲型)、歼6乙(東風105、59式乙型)となった。1964年10月までに生産中止となった東風102については当然ながら改称は行われていない。

「東風」は中国語簡体字で「东风」、ピンインでは「Dōng fēng」と表記される。機体は製造したものの改称前に製造中止となった東風102はピンインの頭文字をとって”DF-102”と表記される。以下にシリーズの概要を記しておこう。

【東風101】歼5の当初の名称。その後”56式”となり、1964年11月の改称で歼5となる。

【東風102】1959年09月30日初飛行したMiG-19S(C)のコピー機。”59式”とも呼ばれたが品質が悪く33機もしくは36機を製造して製造中止となった(百度百科内で二つの数値が記載されている)。北京の中国航空博物館、上海の航空科普館、長春の長影世紀城に実機が展示されている(ただし長春の機体は歼6Iの可能性がある)。

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写真1 上海の航空普科館に展示されている東風102。(2014年11月21日撮影)

 

【東風103】1958年12月19日(百度百科では12月17日)初飛行した、後の歼6甲。詳細は別記事を参照ください。

【中国の展示機】J-6(歼6)シリーズ - 用廃機ハンターが行く!

【東風104】計画だけで終わった軽戦闘機

【東風105】のちの歼6乙。改称前の制式呼称は”59式乙型”。こちらも詳細は別記事(上述)を参照ください。

【東風106】計画だけで終わった攻撃機。この計画を発展させたものが後の強5の開発に繋がる。

【東風107】設計まで進んだ米海軍のF-8を双発にしたような戦闘機。

【東風109】原子力エンジンを2基搭載してマッハ3.5で飛ぶ30tのデルタ翼機。 

【東風113】F-105とB-58の良いとこ取りを目指した超音速戦闘爆撃機

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写真2 中国航空博物館の東風102。この機体は右水平尾翼が無くなっていた。(中国航空博物館、2011年11月5日撮影)

 

【参考】

本記事は事実上、百度百科の東風シリーズの解説の抜粋です(2021年12月13~14日日に閲覧)。詳細は「东风101」~「东风107」の単語で百度百科にて検索をかけてください。

以上