用廃機ハンターが行く!

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【中国の展示機】J-6(歼6)シリーズ

<編集履歴> 13Dec.2021公開、14Dec.2021見直し更新(第1回目、東風102に関する話を修正)

とりあえず書いてみた。が、百度百科の記述やBobOgdenのSN本と見比べるとどうも違うような記述がかなりある。公開するのでコメントは受け付けるけれど、向こう1か月くらいはあれこれ見直すつもりなので、できれば年明けくらいまでは静観していて欲しい・・・な?

 

【機種名の表記方法】

 本Blogにおける中国語の機種名表記の基本的なルールについては別項を参照ください。ただし本記事に限っては機種を「中国語簡体字ハイフン無しの数字(ピンイン頭文字表示ハイフン数字)」という形で記載します。

【中国】基礎編 機種名表記について - 用廃機ハンターが行く!

【歼6(J-6)シリーズについて】

 中国では5,205機の歼6シリーズを製造し、中国人民解放軍ではこのうちの4,000機以上を使用してきたが、2010年6月12日に最後の一機が退役した。歼6とは一般的にはMiG-19の中国生産機のことを指すが、シリーズの中にはMiG-19から派生した中国独自設計による機体が含まれている。機体開発の流れを樹状図に示すと分かりやすいのだが、残念なことに私はExcelで作成した図を”はてなブログ”に掲載する術を知らないので、文章だけで解説する。ネット上のどこかに歼6の開発の流れを示す樹状図があるハズだし、おそらくはそちらのサイトの方が正確なので、こちらは参考程度に眺めてください。

 さて歼6シリーズには歼6甲、歼6乙、歼6丙、歼6I、歼6II、歼6III、歼6新甲、歼6新III、歼6IV、歼偵6(C)、歼偵6(CI)、歼偵6(CII)、歼偵6(サブタイプのない量産型)、歼教6、歼教6(射出座席試験機)、BW-1(歼教6改造のCCV試験機)の16タイプが知られている。以下にざっくり解説してみよう。

 なお本記事内では派生型の強5シリーズと用廃後の機体を改造した無人機については取り上げない。东风(東風)シリーズについては別記事も参照ください。

【中国の展示機】”東風”シリーズ - 用廃機ハンターが行く!


【歼6甲(J-6A)/东风103】
 MiG-19P(MiG-19PF)の中国生産型で元の工場名称(プロジェクト名称と考えて良いかと思う)は”东风103”。採用が決まり、制式名称”59式甲型”となったが、この呼称はほとんど使われていないうちに1964年11月の呼称改称で歼6甲となった。初飛行は1958年12月19日(最下段参考3のKF記事記載の日付。百度百科では1958年12月17日となっている)で90機が生産された。機首のインテイク内に要撃レーダー、空気取入れ口上部に測距レーダーを装備している。主翼付け根部にはNR-30 30mm機関砲を左右各1門備える。中国空軍博物館に展示機がある。私自身はスライドで撮影しているが、探し出してデジタル化しなければならないので、ここに写真は無い。ググってください。

【歼6乙(J-6B)/东风105】
 MiG-19PMの中国生産型で元の名称は东风105。1964年11月の改称で歼6乙となった。初飛行は1959年9月18日で19機が製造された。機体形状や搭載装備などは歼6甲とほぼ同じだが主翼付け根の機関砲が無く、武装は空対空ミサイルまたはロケット弾のみ。

【歼6丙(J-6C)】
 昼間戦闘機型MiG-19S(MiG-19C)の中国生産型で中国製造機は1963年9月23日に初飛行。1984年までの21年間に3,562機が製造された。生産途中からドラッグシュートを装備している。ほぼ全ての歼6シリーズの原型となる機体(標準機)であり、各地に展示されている歼6の大部分はこのタイプだ。

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写真 3,562機が造られたという歼6丙。(建川博物館聚楽、2017年3月19日撮影)

 

【歼6I(J-6I)】
歼6丙を原型にしたアメリカの無人偵察機を対象とした高高度迎撃機。エンジンを過噴6甲に換装し、両翼の機関砲を撤去して胴体右下の1門だけにしてある。1966年9月に初飛行し、12機が製造された。

【歼6II(J-6II)】
 歼6Iでは火力が脆弱だったため、歼6Iの胴体左下に23mm機関砲を追加装備したタイプ。1969年3月25日初飛行。2機が製造されたが、アメリカの北爆停止とともに偵察機の飛来が止まり、用途が無くなったという。機首インテイク脇に片側4か所のサブインテイクを設けた。

【歼6III(J-6III)】
 歼6丙を原型として機首インテイク内に比較的大型の測距レーダーを装備したタイプ。初飛行は1969年8月5日で388機が製造されたが、品質不良で事故が多発したため303機を工場に返品した。改良型エンジン渦噴6を搭載したことにより機首側面に片側4個ずつの補助インテイクが設けられている。

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写真 歼6III。(中国航空博物館、2011年11月5日撮影)

 

【歼6新III(J-6 Xin III)】
歼6IIIの機首を375mm延長した発展型で1975年8月1日に初飛行し、5機が製造された。百度百科には主翼パイロンが増設されたと書かれているが、中国航空博物館展示機にパイロンはついておらず、詳細は不明。

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写真 歼6新III。拡大するとインテイク脇に片側4か所の補助インテイクの跡のようなものが見えるが、なんだか穴がふさがれている(可動扉が固定されている)ようにも見える(中国航空博物館、2011年11月5日撮影)

 

【歼6IV(J-6IV)】
歼6IIIの夜間戦闘機タイプで初飛行は1976年9月24日。7機が製造された。

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写真 歼6IV。(中国航空博物館、2011年11月5日撮影)

 

【歼偵6(C)(JZ-6)】
中国で独自開発した戦術偵察機型で前脚直後にカメラを搭載していた。1967年5月以降に49機が製造された。

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写真 戦術偵察機歼偵6。機関砲付け根当たりの胴体下部にカメラベイのある前期生産型だ。本機は1977年7月7日に中国人パイロット范園焱が台湾に亡命してきた際の乗機だ。(台湾教育参考館、2017年11月26日)

 

【歼偵6(CI)(JZ-6)】
歼6IIを原型として1機だけが製造された。1971年4月1日初飛行。

【歼偵6(CII)(JZ-6)】
歼6丙を原型として3機が製造された。1975年1月26日初飛行。

【歼偵6(サブタイプ名称の無い後期生産型)(JZ-6)】
上述の歼偵6(CII)を原型として1976年4月2日初飛行、133機が製造された。

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写真 1986年02月21日に韓国水原空軍基地に亡命してきた歼偵6。カメラベイが膨らみ、整形が成された後期生産型の歼偵6だ。(韓国済州島航空宇宙h博物館、2016年3月26日撮影)

 

【歼教6(JJ-6)】
胴体を84cm延長し、両翼の機関砲を外して機首右側の1門だけにした複座練習機型で中国にて1984年までに634機を製造した。ソ連では1機の試作機しか製造しなかったというので「ほぼ中国独自の機体」と言っても良いのだろう。

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写真 複座型練習機歼教6。(東方緑舟、2018年3月24日撮影)

 

【試験機・研究機】
(1) 一機の歼教6を改造して射出座席の射出試験機とした。1988年6月1日初飛行。
(2) 一機の歼教6を改造してCCV試験機”BW-1”とした。1988年11月5日初飛行。ちなみに日本のT-2CCV機の初飛行(カナード無し)は1983年8月9日。

 

【东风102】

东风(東風)シリーズとは中国内で1940年代末期ごろから50年代中期にかけてMiG-17とMiG-19系統の国内生産機およびその独自開発機に付与されていた名称だ。日本語的な感覚だとプロジェクト名称(およびそのプロジェクトの成果である機体の名称)と考えて良いだろう。上述の通り东风101はのちの歼5となり、东风103は歼6甲、东风105は歼6甲となった。ここで機体製造が行われ、制式名称が与えられたものの品質が悪くて製造中止となり、消え去った機体がある。それが东风102(DF-102)だ。1959年09月30日初飛行したMiG-19S(C)のコピー機で制式名称”59式”が付与されたが33機もしくは36機を製造して製造中止となってしまった(百度百科内で二つの数値が記載されている)。現在では北京の中国航空博物館、上海の航空科普館、長春の長影世紀城に実機が展示されている(ただし長春の機体は歼6Iである可能性がある)。

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写真 东风102。この機体は右水平尾翼が無くなっていた。(中国航空博物館、2011年11月5日撮影)

 

【参考】
1) Wikipedia日本語版「J-6」(2021年12月13日閲覧)
2) 百度百科の「米格-19战斗机」、「歼-6」、「歼教-6」「东风102」ほか関連項目(2021年12月13~14日閲覧)
3) 「再見!殲6・J-6戦闘機 現代化の尖兵との別れ」田辺義明、航空ファン2010年11月号p.78-81
4) 「カンボジア戦争博物館のJ-6」大路聡、航空ファン2019年8月号p.62-69
※私自身は 世界の傑作機No.151「MiG-19”ファーマー”」を保有していない。

以上