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”塗り”はいくら?三沢航空科学館のファントム再塗装工事からの考察

<編集履歴> 03Nov.2021公開、23Dec.2022見直し更新(第1回目、タイトルと体裁変更)

 

 三沢航空科学館の屋外展示機F-4EJ改(57-8375)は2021年9月9日~12月10日の間に請負金額2,035,000円にて再塗装工事を行いました。2009年1月29日に同館へ搬入されてから約13年(12年8か月)が経過し、初めての再塗装です。本Blog的には「ファントム一機を塗り直すと約200万円かかる」という数値の目安が明確になったことが情報的にはウレシイですね。業者の多いエリアと少ないエリアで入札を行えばプラスマイナス50万円くらいは差が付きそうですが、まぁ、いいでしょう。

 さて、本記事ではこの再塗装を一つの事例として、再塗装にどのくらいの金額がかかり、その予算をどのように確保していくかということについて考えてみたいと思います。

 今回の再塗装にかかった費用を13年の年間経費均等割りにしてみると年間15万7千円程度、152か月(12年8か月)で割り返すと月間1万3千円程度となります。ちょいとイロをつけて1万5千円、さらに物価上昇の予想分も含めて年間2万円程度を「積み立て」ておけば、10年に一度程度は塗り直すことができる、という勘定ですね。

 三沢航空科学館の場合、屋外に11機の機体があります。大はUP-3Aから小はOH-6D/ T-3まで、同じ費用で塗り直すというには無理があるけれど、ざっくり2万円/機×11機=22万円/月(年間264万円)を積み立てれば10年に一度は再塗装できるという計算ですか。

 三沢航空科学館の場合には工事対象となる屋外展示機が約10機と計算しやすい機数なので、「毎年264万円程度」の維持補修費を計上して、毎年1機ずつ塗り直せば10年一回の再塗装サイクルが確立して、予算も(変動が少なく)取りやすいように感じますね。

 

  ここで年間264万円の維持補修費を入場料収入だけで確保したらどれだけの入場者数がいなければならないのかということを考えてみます。現在の入場料は大人510円。入場者が全て大人だと仮定すると年間5,176人やってこないとなりません。博物館の光熱費、スタッフの人件費などを考えれば、その10数倍程度以上の入場者が安定的に来館してくれなければ、入館料収入だけでは博物館は維持できないということですね。

・・・機体をいつもキレイにして見せて欲しいとは思いますけれど、やはり大変なのですねぇ・・・。

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写真1 冬季は雪で「削られる」三沢航空科学館の展示機。塗色を維持していくのは大変だ。(2014年2月1日撮影)

 

 最後に注意事項:

 今回の記事では「再塗装する金額」のみに注目して、その費用はどれだけになるかという視点で文章を書いています。この金額で元の色合いを再現し、機体各所の細かな注意書きを全て再現できるとは考えていません。それらの作業の難しさなどは、いつか別な機会にでも書いてみたいと思っています。

以上