用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

マレーシア空軍博物館(準備中の新博物館)

<編集履歴> 24Sep.2021公開、24Dec.2023見直し更新(第5回目、見直し実施)

 

【はじめに】

 クアラルンプールにあった空軍博物館は2016年に閉鎖されたが、2021年になってから移転に関する話に進捗があった。まず博物館の組織自体は2021年1月に旧博物館のあったSungai Besiから移転先となるクアラルンプール国際空港の南東約20kmにあるSendayan空軍士官学校(2.6864N, 101.8591E付近)の敷地内に移されている。その後、2023年9月19日までに少なくとも10回に渡る旧展示物の移設作業が行われており、18機以上の展示機(および展示物)が移設されている。移転ペースを見ると予算さえあれば2023年度中に全機が移転されることだろう。新博物館は2023年6月時点では一般公開をしていないものの、近隣の小学生(あるいは軍関係者の子供たちなどの団体)の遠足などの活動に対しては一部の展示物を公開している。2023年6月12日に海外のマニアが現地に問い合わせたところ、2年以内に一般公開するつもりとの回答が得られたそうだ。(東南アジアの国なので2025年公開を目標としていても「数年先」程度と考えていた方がよいだろうと個人的には思っている)

【新しい空軍博物館へのアクセス】

 Sendayanの士官学校はクアラルンプールから快速列車で1時間ほどのSeremban駅と陸軍博物館のあるPortDicksonの街との中間あたり森林を切り開き、新たな都市開発の進む ”METROPARK” の中央付近にある。Seremban駅からバスで行けそうだが、新都市エリア全体が現在も開発中のため詳細はよく判らない。このような新興開発エリアのバス路線は地域の開発が進むにつれて頻繁に変わるため、当面は本Blog上には記さない。ネット上で「最新情報」を入手して現地を訪問しても「今月から/先週から路線が変わりました」なんてコトもあるだろう(何度か経験済)。すなわち「下調べをしたうえでSeremban駅脇のバスターミナルで最新のアクセス手段を尋ねる」というのが現時点での正しいアクセス法だ。おそらくはPortDickson方面行きのバスなどで近隣を通過するバスが1時間に2本以上の頻度で出ていることだろう。バスの乗車時間は20-30分程度だと思う。読者の皆様が無事現地に辿り着けますよう、アラーの神のご加護あれ(注:マレーシア人の61.3%はイスラム教徒だ(2022))。

 

【移転作業の経緯】

 Facebook上の”RMAF Museum"公式サイトによると概ね次の日程で旧空軍博物館のあったSungai Besiからの移転作業が行われている。ここに記した日付はFacebookへの投稿日だが、多くの場合には記事中に「いつ搬出されたか、もしくはいつ搬入されたか」という情報が記載されている。日中にSungai Besiで機体の分解と車両への積み込み作業を行い、夕方に搬出。夜間にSendayan搬入というのが基本的な作業工程のようだ。機体の再組立てと設置は夜間に行う場合と、翌日から数日後にかけて行う場合があったようだが、これは機体の大きさ等により、作業手順を変えているためだろう。おそらくは試行錯誤の初期の作業に比べて後段では手際も段取りも良くなってきているハズだ。記事等へ引用する際には注意願う。

・2021年09月21日記事(第1回目)、最初の2機となるアルエットIIIとEagle(UAV)が搬出された。この2機は同年12月には敷地内に展示されたという。

・2022年10月21日記事(第2回目)、第2回および第3回(Phase2-3)分の搬出は10月4日に行われ、次の4機が搬出された。ワスプHAS.1 (M499-04)、ブルドッグ(M25-08)、ベル47G-2(M26-08)、チップマンク (FM-1022)。チップマンクは屋内展示となっているようだ。

・2022年10月21日記事(第3回目)、同上

・2022年12月07日記事(第4回目)、パイオニア2(FM-1016)が12月5日に搬出された。

・2023年01月04日記事(第5回目)、ハーバードIIB(FT-383)とプロボストT.51 (FM1037)の2機はSungai Besiから1月3日に夕刻近くに搬出され、日が暮れてからSendayanに搬入された。

・2023年02月02日記事(第6回目)、MB339AM (M39-12)、 セスナ310F(FM-1041)、セスナ402B(M27-02) の3機が2月1日にSendayanに搬入された。

・2023年03月15日記事(第7回目)、カナディアCL-41G-5 (FM2201)とコモンウエルス CA-27 Sabre Mk.32 (FM-1902)が3月14日に搬出された。

・2023年06月08日記事(第8回目)スケルトン化されていたコモンウエルス CA-27 Sabre Mk.32 (FM-1907)とツインパイオニア(FM-1001)が6月7日に搬出された。Sendayanには夜間に搬入され、翌日設置・再組立てが行われたようだ。

・2023年07月18-23日(第9回目)セスナ(機種不明)、A103、アルバトロスを搬出したとの記事が7月20日付で存在する。搬出日が記事掲載後の23日を含んでいることと”A103”に相当する機体が無い(セスナ310Fか?)ので、いく分信憑性に欠ける部分がある。

・2023年09月19日(第10回目)ダブ、ヘロン、テブアン(FM-1125)を搬出した。

・2023年11月28日頃 公式発表では無いが、A-4PTM(M32-30)が搬出/移転/設置された。

 

【展示機Displayed Aircrafts】

(1) F-5E (M29-12, 2.6864N, 101.8591E) 空軍士官学校の正門ロータリの駐車場脇にあり、機首を真北に向けて3mほどの台座の上で緩く上昇左旋回している形で展示してある。訪問すれば写真撮影は可能な場所だ。S/Nを見る限りでは旧博物館の機体だが、見学者に折られて無くなっていたピトー管は補修されている。上述した旧博物館展示物の移転計画に基づく作業とは別次元の話として、Sendayan基地を造成する際に移設されたようだ。垂直尾翼には黄色と黒のチェッカーの稲妻とサソリのシルエットのマークを描いている。

 

(2) アルエットIII (M20-05, 2.6777N / 101.8563) 2021年09月21日に移設された機体。GE-Proの2022年1月14日取得画像から機影を確認できる。

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写真1 Sungai Besiの旧博物館に展示されていた当時のアルエットIII。(2012年10月7日撮影)

 

(2) Eagle-UAV (M51-01, 2.6777N / 101.8559) 2021年09月21日に移設された機体。GE-Proの2022年1月14日取得画像から機影を確認できる。移設設置後の写真を見ると右前翼のフラップ(エルロン?)の支持機構が壊されたようで垂れ下がっていた。旧展示場所に置かれていた時の最後の頃に壊されたようだが、その後は補修されただろうか。

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写真2 民間機Eagleを無人機化した偵察機。これは旧博物館の格納庫内に展示されていた当時の写真だ。(2014年6月21日撮影)

 

(3) ワスプHAS.1 (M499-04) 2022年10月4日旧博物館搬出。

(4) ブルドッグ(M25-08) 2022年10月4日旧博物館搬出。

(5) ベル47G-2(M26-08) 2022年10月4日旧博物館搬出。

(6) チップマンク (FM-1022) 2022年10月4日旧博物館搬出。

(7) パイオニア2(FM-1016)2022年12月5日旧博物館搬出。

(8) ハーバードIIB(FT-383)2023年1月3日旧博物館搬出。

(9) プロボストT.51 (FM-1037) 2023年1月3日旧博物搬出。

(10) MB339AM (M-39-12) 2023年2月1日Sendayanに搬入。

(11) セスナ310F(FM-1041) 2023年2月1日Sendayanに搬入。

(12) セスナ402B(M27-02)  2023年2月1日Sendayanに搬入。

(13) カナディアCL-41G-5 (FM-2201) 2023年3月14日旧博物館搬出。

(14) コモンウエルス CA-27 Sabre Mk.32 (FM-1902) 2023年3月14日旧博物館搬出。

(15) コモンウエルス CA-27 Sabre Mk.32 (FM-1907) 2023年6月7日旧博物館搬出。スケルトン展示機

(16) ツインパイオニア(FM-1001) 2023年6月7日旧博物館搬出。

(17) A-4PTM (M32-30) 2023年11月28日頃に旧博物館搬出。

【旧博物館について】

クアラルンプールにあった旧空軍博物館の様子はこちらの記事に記録として残してあります(ただし記事としては今でもUpdate中)。よろしければご参照ください。

【KL】空軍博物館(閉鎖済、記録) - 用廃機ハンターが行く!

以上