用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【雑談】航空博物館の運営費用

<編集履歴> 22Sep.2021公開

 

 2020年に7機の展示機を格納してしまった航空自衛隊浜松基地に隣接する広報館。

 なんらかの動きはあるのだろうか?と、8月末に公表された令和四年度予算の概算要求を眺めてみた。ついでに用廃機関連の費用がどんなモンだか調べてみた結果をまとめてみた。

 なお先に書いておくけれど、私には会計関連の知識は無い。よって読み込んだ資料に対する根本的な捉え方が間違っている可能性があることを先に明確にしておく。コメントやSNSで指摘されれば、その事項から勉強すればイイや、という軽いノリでまとめた結果だということを強調しておく。

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写真1 文書だけではつまらないので、浜松の広報館にかつて展示されていたT-1Aの写真を貼り付ける。

 

1.概要

 例年8月末ごろを締め切りとして各省では「来年度はこのくらいのお金が欲しいよ」という書類を国会(財務省)に提出するとともにこれをHPで公開している。これを叩き台にしてあーだこーだと調整を行い、年度末には「来年度はこのくらいのお金を使っていいよ」という来年度予算が決まる。こんな流れが毎年あることを確認しておこう。

したがって8月末段階の資料を読むというコトは「来年度はこんなことをやりたいよ」という省庁の思惑(計画・構想)を読み取るということになる。その中で広報関連の項目を見れば、いくつかの展示館などの運営費用の概要が読み取れるのではないだろうか。

 

2.防衛省の概算要求書

 「まとめ(概要)」「歳入(国庫への収入)」「歳出(国庫からの支払い)」に分けられる。戦闘機を何機、戦車を何両、艦艇を何隻購入したい、という概略は「まとめ(概略)」を見て置けば事足りるが、こんな演習やりたいよというような細かい話は「歳出概算要求書」を見る。毎年pdfで600ページを少し超えるくらいの分量があるが、マニアを自称する方は頑張って目を通しておこう(・・・と煽っておく)。

さて令和4年度の防衛省の歳出概算要求書は防衛省のHPの予算関連のページで見ることができる。これを元にして話を進めよう。

https://www.mod.go.jp/j/yosan/gaisan/r4/gaisanyoukyu.pdf

 

3.広報施設関連の費用

 ここでは用廃機ハンターの視点から空自の広報館、海自の史料館、陸自の広報センター、の3施設について注目してみた。「鉄のくじら館」や「戦艦三笠」や各基地等に存在する資料館・広報館の費目もあるのだろうが、(分量があるので)見ちゃぁいない。皆様からのご指摘がありましたら、もう一度見てみたいと思ってます。

<記載上の注意事項>

(1) 概算要求書にはページがふってありますが、白紙のページを含んだpdfが公開されています。そこでページ数は次のように表記することにします。

表記方法:要求書ページ(pdfページ数/pdf全ページ数)

例 p.186(190/618) :概算要求書のp.186、618ページ分があるpdfの190ページ目という意味です。

(2) 金額の単位は「千円」です。原本には「概算要求額(前年予算額)」という形で記載されていますので、これをそのまま転記しました。原本と数字が異なる場合には単なる転記ミスですので、ご指摘ください。

 

3-1. 空自の広報館

 浜松の広報館関連の概算要求額としては78,955千円分の要求を読み取ることができた。令和3年度に比べる増額しているが、削られることを見越しての計上だろう。昨年格納した機体を展示するための設備を検討するための予算らしきものはみつけることができなかった。このまま放ったらかしで格納→熱が冷めたら廃棄という最悪の路線をたどるのではないだろうか?こんなブログの片隅であっても、残せ―っ!と声をあげておきたい。

p. 237(241/618) 広報館経費 68,935 (66,148)

 (1) 消耗品費 0 (3,750)

 (2) 賃料及び損料 753 (106)

 (3) 雑役務費 68,182 (62,292)

p. 240(244/618)  広報館維持費 10,020(9,408)

 

3-2. 海自の史料館

 鹿屋の史料館関連の概算要求額は42,230千円だ。浜松の広報館に比べると半額程度(54%ですね)の概算請求額しか見えてこない。貴重な二式大艇だからといって特別な維持管理費があるワケではナイようだし、これだと用廃となる海上自衛隊のUH-60Jなんて展示することもできないのではなだろうか。

p.224 (228/618) 教育訓練演習費> (1)一般教育>オ 史料館等維持費 30,616(30.664)

p.226 (230/618) キ 史料館業務のアウトソーシング(総人件費改革関連事業)15,929(15,929) 

p.229 (233/618)  4備品修理費>(2) 史料館維持 5,685 (5,685)

 

3-3.陸自の広報センター

 必要な管理費用があまり見えないのが陸自の広報センターだ。通信機の購入整備で45百万円、管理は委託で年間約330万円?!二人くらいで掃除などやっているのかしらん?光熱費が別会計になっているので、どのくらいかかるのかは判らない。こちらも新規の展示物(実物)は期待しない方が良さそうだ。

p.355(359/618) 官舎維持費>広報センター部外委託役務 3,332(3,332)

p.434(438/618) 通信機器購入費>広報センターの整備44,984(0)

 

3-4. その他

p.236 (240/618) 教材整備隊の造形業務の一部外部委託 28,470 (28,470)

例えば令和3年度末には広報館に展示するB-777政府専用機やU-680Aの制作を公募していたが、これに該当するのだろう。

p.231 (235/618) 募集広報用展示機等の整備 4,070 (0)

これは用廃機ハンターにとっては重要な費目だ。新たな展示機が発生するのだろうか?それとも既存の機体の塗り直しだろうか?

p. 240 (244/618) 修武台記念館における管理事務等の部外委託 5,838 (5,838)

修武台記念館の管理表は独立した項目にしても良いかも・・・。

 

 上記以外に広報業務庁費という費目がある(p.277, 278, 323)。「空飛ぶ広報室」のような空幕、陸幕、海幕の広報室が握る予算でしょうか。また展示機の再塗装などは特別な項目が見つからないので設備の維持管理費用から捻出しているのでしょうか。

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写真2 鹿屋基地の二式大艇。維持管理するカネは無いぞ。きっと、多分。保存のための基金でも募ればとは思うのだが。

 

4. まとめ

 見える費用(概算要求額)だけで浜松広報館は年間約8千万円、鹿屋の史料館が4千万円というところでしょうかね。これが高いか安いかは各自の判断にお任せします。

 さて歳出概算要求書をザッと読んで、戦艦三笠とか鉄のくじら館の費用があったかなぁ?と思ってます。かなりの見落としがありそうですね(笑)。今後、自分でも見直していきたいとは思ってます。いつ実行に移せるかはお約束できませんが・・・。

以上