用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【第3章】背景確認(その2) 観光客の動態確認

<編集履歴> 04Jul.2021公開、25Jun.2022見直し更新(第2回目、見直し実施)

 

 米子空港の脇に航空博物館を建ててしまえっ!しかしお客さんはいるのか?

その辺りを確認してみよう。

 

4.観光客の動体確認と見込まれる収入

4-1. 基本的事項

(1) 日本人サラリーマンの平均的な観光旅行にかける日程はおそらく土日の一泊二日程度、良くても二泊三日程度だろうと想定する。

(2) 一日二日程度で回り切れないだけの観光資源が存在すれば、リピーター需要を喚起できる可能性が高い。

 

4-2. 米子エリアへのアクセスパターンの確認

<基本>

 空路、JRあるいは夜行バス等の手段にて米子エリアに来ても、そこからの足が無いため、域内はレンタカーもしくは観光バスを利用することになる。

(1) 米子エリアへのアクセスは概ね次のパターンになると考える。

<東京エリアから>

1) 米子空港へ航空機で来訪し、車もしくはJRで周遊する

2) 鳥取空港に飛来し、車もしくはJRで来訪する

3) 出雲空港に飛来して、車もしくはJRで来訪する

4) 新幹線+特急もしくは寝台特急サンライズ出雲を利用して来訪する

5) 車(自家用車・夜行バス)で来訪する

 

<近畿圏から>

1) 車(自家用車・夜行バス)で来訪する

2) JR(新幹線+特急)で来訪する

 米子だと近畿圏からならば、かろうじて日帰り圏内か。JR特急は近畿圏(京都および大阪)より特急「スーパーはくと」を2時間に一本程度の頻度で鳥取もしくは倉吉まで走らせている。大阪から鳥取まで約2時間30分、運賃3,960円、特急指定席料金3,260円だ。あるいは新幹線で岡山まで行き、特急やくもに乗り換えて米子に行くパターンとなるがこの場合は新大阪から米子まで約2時間50分、運賃5,729円、特急指定席料金4,630円となる。途中乗換の必要があり、また現地での足が必要となることから近畿圏からJRで訪問する旅行客は少数であり、大半は車を利用して訪問しているものと考える。

 

<九州圏から>

1) 車で訪問する。

2) JR(新幹線+特急)で訪問する

 

<四国から>

1) 四国および瀬戸内各地からは車で訪問する

 

4-2. 米子空港利用者の確認

(1) 米子空港の利用者数は東京からのANA便で約58万人(2019)、搭乗率は67.6%とのことだが、当面は194席(A321使用)×一日5便×365日×搭乗率66.7%としておこう。すなわち236,151人/年、ざっくり24万人/年としておく。

(2) 確たる根拠はないが、搭乗者の1/3が旅行者と仮定すると24万人×1/3=年間8万人が米子エリアに旅行で訪問していることになる。約6,700人/月、約219人/日。

 

4-3. JR利用者の確認

米子駅に到着したあと、境線を利用する者の数を確認する。参考資料より、境線利用者の大部分が通勤・通学であり、一般乗客数は年間750~800人程度。これは一日当たり2.0-2.2人程度となる。一人の旅行者が米子のホテルから境港を往復する程度と考えて良いだろう。

・参考:鳥取県西部地域公共交通網形成計画(本編)より

https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1023053/seibu_koutsumoukeikaku_zenbun_2.pdf

 

4-4. 自家用車(二輪車)など

(1) 空路あるいは鉄道等で米子エリアに来ても、そこからの足が無いため、域内はレンタカーもしくは観光バスを利用することになる。上述の通り境港線を利用する一般乗客数は年間750-800人程度。これに対して境港線終点にある水木しげるロードの来訪者は後述するが年間300万人に達する。ほぼ全ての観光客が車で移動しているとみなすことができよう。 

(2) 水木しげるロードに車で行くためのルートは次のパターンが四パターンがある。

1) 米子市内から米子空港東側を走る国道431号を利用する。

2) 米子市内から空港端を通過する県道47号を利用する。

3) 松江方面から国道431号を利用する。

4) 松江方面から県道を利用し、江島を経由する。

 松江方面から水木しげるロードに行く場合には米子空港脇を通過することはないが、せいぜい15分の距離である。魅力ある観光施設があれば、立ち寄ることに何の不便もない。

(3) 松江を中心とし宍道湖と中海の周囲を巡る横八の字の観光周遊コースを考える。すなわち水木しげるロード米子市ー安立美術館ー松江市松江城出雲大社を巡るコースだ。これを考えると極めて多くの観光客が米子空港の近くを通過していることになる。空港脇という立地条件は十分に集客を見込めるものと思われる。そしてこの観光客を「一時停車」させ、「お金を落としてもらう」ための施設を作ることを事業推進の基本方針としたい。

  

4-5. 入場者の予測

 境港市では水木しげるロードなど主要な観光地への観光客数を調査し、その結果を公表している。コロナによる外出制限前の2019年(1-12月)に水木しげるロードを訪問した人数は約300万人であったが、博物館施設である「海とくらしの史料館」にはその23.3%に相当する年間約70万人が訪問していた。博物館類似施設である「そらの広場(仮称)」はやや特殊な展示館であるため入場者数を予想しがたいが、「海とくらしの史料館」入場者数の約5%減としておこう。すなわち2019年基準として水木しげるロードに訪れた観光客の約18%、54万人/年の入場者を見込むことにする。

・参考:境港市内観光客入れ込み状況(2022/5)

http://www.sakaiminato.com/site/page/event/irikomi21/file01.pdf

 

4-6. 収入予想

(1) 上述の通り本施設の年間入場者数を54万人と仮定する。

入場料を高校生以下無料、大学生の入場料を300円、500円、700円とし、支払い対象者の割合を50%と70%とした場合の大人入場料収入の試算を行った結果は次の通りだ。なお高齢者割引や年間パスなどの特典は試算時点では考慮しない。

入場料金 対象者50%の時  対象者70%の時

300円   8,100万円    11,340万円

500円    13,500万円    18,900万円

700円    18,900万円       26,460万円

 

(2) 上記(1)で予想する入場者の5%、すなわち27,000人が現地で飲料1本を購入するものとして、業者からのキックバックを10円/本と仮定する。飲料販売で得られる利益を試算すると27万円/年程度だ。あまり真剣に考える必要は無さそうな収入だ。

(3) 上記(1)で予想する入場者の0.1%、すなわち540人が現地で専門グッズ1,000円を購入するものとして、「空の広場(仮称)」が得られる利益を80円/個と仮定する。グッズ販売で得られる利益を試算すると43,200円/年だ。

 なお、ここでは一般的な土産物ではなく「ヒコーキ関連の特別グッズ」の販売を想定している。一般土産物は現行の土産物店に誘導するため、販売は考えていない。地域全体の訪問者数を増やすことが目的の施設なので、ここで普通の土産物で利益を得るつもりはそもそも無く、観光客に「もう一品」買わせ、地元にお金を落とさせることが必要なのだ。

 

<参考>

1. 観光客入れ込み動体調査結果(平成20年、鳥取県文化観光局観光政策課)

https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/226510/08020220082000.pdf

2.  境港市内観光客入れ込み状況(2022/5)

http://www.sakaiminato.com/site/page/event/irikomi21/file01.pdf

 

<備考>

 小松の航空プラザにファントムを展示しようと呼びかけた際には「博物館」としての発展を考慮していたが、今回はほぼ100%観光客から(周辺地域に)お金を落とさせることを主目的とし、ついでに自衛隊広報もやっちまおうというノリである。しかも東京近郊や近畿圏、北九州エリアからの観光客が多いので広報効果は抜群のハズ。可能であれば経済効果を試算してみたい。

 なお地元の金回りが良くなれば、反対派も少しは大人しいのでは・・・という想いがある。F-4設置に関する協議会議事録を読む限りでは共産党系議員も地元に金おちるなら、と納得しているような発言が読み取れる。本提案では最大では水木しげるロード訪問者の全て(年間300万人)を対象とした施設となるので、「お金が落ちないハズは無い」うえに、「実利のないイデオロギーのみで反対すれば地元経済界からの票を確実に失う」ことになるので、そもそも体裁を保つための文句はつけても反対は出来ないだろうと考えている。(この文章を読んで意固地になる可能性はあるが・・・。本文はもともと素人意見・仮想事項なので、たとえ実現しなくても私自身は知ったこっちゃない。せっかくの観光資源を腐らせるのは”地元の意向”だ)

 一方、個々の状況に応じて利権を求める声もあろう。この土地の性格は判らないが利権がらみの”不慮の事故”が起きない程度であればと思う。

以上