用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 C-46の展示機

<編集履歴> 27Aug.2018にMixiにて公開、2019年初め頃にはてなBlogに公開、26Apr.2022見直し更新(第11回目、美保の機体がNT機であることを追記)

 

 航空自衛隊では1955年から1978年まで48機のC-46D(うち9機はC-46Aからの改造。EC-46Dへの改造機を含む)を輸送、電子訓練、飛行点検、飛行実験のために使用していたが、これは国が定めた配備機数を上回る機数だったという逸話が残る。部品取り用として台湾から購入した機体の状態が思いのほか良かったので飛行業務に使っちゃったのだ。台湾からの購入機は91-1137~91-1148の12機だが、最後の91-1148が「オマケ」の機体だ。これが原因かどうかは不明ながら資料によっては運用機数を「47機」とするものがある(詳細確認中→判らないね!お手上げだぁ。2021年3月27日追記)。

 【展示機】  

 輸送機の「全機展示(機体を丸ごと展示する方法)」を行う場合には広い場所を必要とすること、運搬費や解体・再組立ての費用が嵩むこと、維持が大変なことなどから、世界的にみても小型の戦闘機などと較べると展示機数は少ないが、国内には6機のC-46が全機展示されている。ほかに1機分の機首部が個人宅に保管されている。これらの機体をS/N順に紹介しよう。 

 

1.  61-1127 山梨県 河口湖自動車博物館

 1973年10月ごろから1979年12月10日ごろまで東京都八王子市に置かれていた機体を引き取り展示中。搬入日や展示開始日などの細かな情報は不明だが、自動車博物館にあることを写真で確認できるのは1987年9月15日以降のことだ。 

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写真1 河口湖自動車博物館のC-46D。(2019年08月20日撮影) 

 

2.  61-1130 東京都 江東区新木場

 東京へリポートの近くにある自動車修理屋さんの倉庫に機首部分が保存されている。個人所蔵機のため位置をややボカシて記すが概ね35.640N, 139.838E付近、M自動車・S化学が目標だ。ストリートビューにてなんとかその姿を確認できる。

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写真2 東京都江東区の自動車修理屋さんにあるC-46Dの機首。(2020年12月8日撮影)

 

3.  91-1138 静岡県 航空自衛隊浜松基地、浜松広報館

 飛行点検隊機塗装で屋外に展示されている。

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写真3 浜松広報館のC-46D。右手後方にはH-21Bヘリコプターが置かれている。(2019年4月20日撮影)

 

4.  91-1139   鳥取県 美保基地

 背中に二つの天測窓を増設し、合計3つバブルウインドウを持つNT(Navigation Trainer)機。当時はGPSなんてあろうはずもなく、天測用の窓から星を見て六文儀を利用して自機位置を特定する天測航法が行われていた。この仕様の機体は運用当時も本機一機だけしか存在しておらず、貴重な機体だ。1977年に引退したあとは美保基地の正門奥に展示されており、一般公開時に間近に見ることができる。 

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写真4 美保基地のC-46Dは背中に3つのバブルウインドウを持つ航法訓練機だ。(2014年06月08日撮影)

 

5.  91-1141 岐阜県 航空自衛隊岐阜基地

 基地南部のエリアにあり、基地祭や基地見学の際に間近に見ることができる。

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写真5 岐阜基地のC-46D。(2009年10月12日撮影)

 

6.  91-1143 埼玉県 所沢航空発祥記念館

 所沢航空発祥記念館前の広場に1993年4月から展示されている。本機が引退した時にはECM訓練機として使用されていたため機体数か所に小さなレドームが装着されていた。これらのうち一部は展示に際して外されているが、エンジン上に見えるレドームなどは他の機体と異なっているので細部写真を撮って他の機体と比較してみよう。

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写真6 所沢航空発祥記念館前のC-46D。(2018年8月22日撮影)

 

7.  91-1145 埼玉県 航空自衛隊入間基地、保存指定機

 基地南端部にあり、外周の柵の隙間から撮影できる。行くなら桜のシーズンがおススメだ。2021年1月中旬~3月中旬頃に塗り直されている。C-46AをEC-46Dに改造した機体だが、恒久展示に際して機首にあった巨大なレドームを除去してC-46D仕様としている。このため運用時の名称のままEC-46Dと表記することもある。現在も機体上面と下面にレドームが残るほか、機首にエアスクープ、胴体に排気口などが残る。

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写真7 平日に外周から撮影した航空自衛隊入間基地のC-46D。(2019年4月6日撮影)

 

【展示後に廃棄された機体】

 長野県の聖博物館には1979年10月14日から2012年11月18日までの間には91-1144号機の機首部、垂直尾翼、主脚が展示されていたことがヒコーキ雲さんへの投稿写真で確認されている。現地への搬入日(展示開始日)および搬出日(撤去日)は不明だ。

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写真8 長野県の聖博物館にあったC-46Dの機首部は2012年晩秋以降に撤去された。(2009年9月20日撮影)

以上