<編集履歴> 17Nov.2020公開、12May.2023見直し更新(第11回目、雄飛園見学再開)
<場所 Place> 〒311-3494 茨城県小美玉市百里170
<座標 Location> 36.1885N, 140.4259E周辺
<訪問日Visit> 08Nov.2020 and 06Feb.2022(外周より)
写真1 月水金の13時から16時に見学できる雄飛園。画面右のF-4EJ改は2022年1月17日に解体された。(2020年11月8日12時ごろ撮影)
<行き方 Access>
(1) JR石岡駅からタクシーで2-30分、5千円くらいか。
(2) JR石岡駅から茨城空港までのバスが1時間に1本程度ある。往復で1,000円。空港からはタクシーで10分程度。2千円くらい。
(3) 東京駅から茨城空港までのバスに乗り空港下車。空港からはタクシーで10分程度。2千円くらい。(注:コロナの影響で東京駅からのバスは運休中)
(4) JR水戸駅北口あるいは南口から空港まで1~2時間に一本程度のバスの便あり。片道1,200円程度。空港からはタクシーで10分程度。2千円くらい。
<解説General>
(1) 百里基地内の展示エリア「雄飛園」は正門を入って直ぐ左側に位置している。演習や特別な事情がない限りは月水金の午後1時から4時まで日本人であれば見学することができる。見学の際にはゲート脇の事務所で免許証など国籍が判るものを提示した上に氏名等を申告する。日本国籍を持たない方や訪問予定日の見学可否などの詳細は基地に直接問い合わせること。
(2) 雄飛園にはF-1, F-4EJ改、RF-4E, F-86D, F-86F, F-104J, T-2 Blue Impulse, T-33Aの合計8機の用廃機が展示されている。また慰霊碑など、いくつかの記念碑がある。いずれも写真撮影は可能だが、基地施設や車両等の撮影は禁止されている。前述の展示機のうち、F-4EJ改、RF-4E,F-1,T-2B.I.は限定的ながらも基地脇を走る道路から撮影ができる。フェンス部分はやや目の細かい金網となっており、18-55mm程度の標準ズームで金網に近づいて撮影しても画面の四隅のどこかに金網が入る。90cm程度の脚立を持参すれば金網をクリアして撮影できる。展示エリア脇には広報館があるが、公開はされていない。
(3) 展示等の洗浄・再塗装とコーテイングが2021年度末に行われた。公告は11月18日付で12月17日に入札を実施。契約金額は4,620,000円であった。また同様の名目で2022年1月28日にも入札が行われ、こちらの契約金額は1,650,000円となっている。いずれも詳細は公開されなかったため対象機は不明だ(個人的には後者165万円はRF-4Eの塗り替え工事費用だと思っている)。作業期間は12月17日から3月31日までであり、この期間中にF-1、F-86D/F、F-104J、T-2BI、T-33A、RF-4Eの7機が塗り直されている。F-4EJ改にもコーティングが施されたのかもしれないが、詳細は不明だ(なお入札仕様書自体は請求すれば公開される情報であるが、私自身はそこまでして確認するつもりはない。ただし基地HPの調達情報(一般公開情報)でファイルが読めなくなっている状態をメールで通知したにも関わらず、2022年12月25日になってもそのままなのはどういうことよ?と問いかけておく)。
【展示機 Displayed aircrafts】
1. 三菱F-1(60-8274)は2006年3月30日から2009年5月26日の間に搬入・展示された。築城基地第6飛行隊のマークを描いている。2022年1月末から3月度にかけて再塗装を行い、この際にキャノピーは劣化防止のために黒く塗りつぶされた。色合いも褪色具合が綺麗に再現されたという感じだ。次回の塗り直しの際の仕様書には、例えば「**社のプラモデルの塗装例に従った色合いで塗装すること」の一文を入れても良いかと思う。おそらくは10年後ぐらいの話になるだろうが。
写真2-1, 2-2, 2-3 色あせてきた三菱F-1は2021年度末に再塗装されたが、褪色した色合いが綺麗に再現されたようだ。違う、そうじゃない感がいっぱい。(上:2020年11月8日、中:2022年2月6日11時45分ごろ、下:2022年5月29日11時10分ごろ撮影)
2. 三菱T-2Blue Impulse(29-5175)は2003年2月14日以前より展示されている。松島基地第21飛行隊戦技研究班(ブルーインパルスのこと)としての活動を終えた後,しばらくは教育訓練で使われ、最後に百里基地に飛来して用廃となった機体。右エンジン排気口部のスモークパイプは取り外されている。2022年1月末から3月度にかけて再塗装を行い、この際にキャノピーは劣化防止のために黒く塗りつぶされた。
写真3-1, 3-2, 3-3 右エンジン排気口のスモークパイプは外されている。2021年度末に再塗装された。(上:2020年11月8日13時ごろ、中:2022年2月6日11時ごろ、下:2022年5月29日11時10分ごろ撮影)
3. F-4EJ改 (17-8437) 先代展示機である17-8302号機が解体された後の2022年1月24日に設置された。前後席とも射出座席は外されている。
写真4 外周道路から見たF-4EJ改。機首部分はRF-4Eの主翼と重なり、尾翼部分は植樹で隠れてしまう。(2022年2月6日11時ごろ外周道路より撮影)
4. RF-4E (47-6901) 先代展示機である57-6906号機が解体された後の2022年1月24日に設置された。国内で唯一のRF-4Eの展示機だが前後席とも射出座席は外されている。設置当初は青い洋上迷彩に退役前のスペシャルマーキングを施していたが、7空団主催の撮影会が2022年2月12日(土)行われた後に”オモチャのような”緑色迷彩にされてしまった(2月16日には下塗りが行われ”白ファントム”となっていた)。余談だが2022年2月12日の撮影会は50人×4回分=200人枠に対して約600人の応募があったそうだ(当選者のTweetより)。
写真5-1, 5-2, 5-3 外周道路から90cmの脚立を使い、フェンスの上部から撮影したRF-4E。フルサイズ320mm相当で中段写真のような機首部のアップを狙える。2022年3月には下段のような緑色迷彩となった。(上・中:2022年2月6日11時ごろ、下:2022年5月29日撮影)
5. ノースアメリカンF-86D(04-8197)は2003年2月14日以前より展示されている。垂直尾翼にはかつて百里基地にいた第204飛行隊(F-15)のマークを描いている。F-104時代の第204飛行隊は新田原基地第5航空団所属しており、その際には黄色と青でV(5)を示すマークが垂直尾翼に描かれていた。F-86Dがこのイーグルヘッドマークを付けて飛んだことはない。2022年3月度に再塗装。
写真6 全機が米空軍からの供与機だったF-86D。(2020年11月8日撮影)
6. ノースアメリカンF-86F(92-7885)は2003年2月14日以前より展示されている。垂直尾翼に描かれているのはかつて百里基地にいた第305飛行隊(F-4EJ→F-15)のマークを描いている。F-86Fがこの梅マークと胴体の青帯を付けて飛んだことはない。2022年3月度に再塗装。
写真7 三菱製のF-86F。(2020年11月8日撮影)
7. ロッキードF-104J(46-8630)は1980年代後半には基地内に展示されていたが、1992年に百里基地展開25周年を記念して台座に据え付けられた。1992年9月12日に展示式が行われており、航空情報1992年12月号(No.579)p.130にその様子が掲載されている。垂直尾翼のマークはかつて百里基地にいた第206飛行隊のもの。数回の塗り直しを行った後、2000年代ごろからはオモチャのような水色塗装となってしまった。20年余りが経過した2022年1月末から3月度にかけて再塗装工事が行われ、オリジナル塗装(に近い)銀地塗装に戻された。
写真8 胴体を水色に塗られたF-104J。2021年度末の再塗装工事にて銀地塗装に戻されている。(2020年11月8日撮影)
8. ロッキードT-33A(51-5629)は2003年2月14日以前より展示されている。垂直尾翼には第501飛行隊のマークが描かれている。2022年3月度に再塗装。
写真9 比較的保存状態の良いT-33A。(2020年11月8日撮影)
【展示後廃棄】
1. マクダネルダグラスF-4EJ改(17-8302)は2012年3月16日から2014年3月22日の間に展示された。退役時にはノーマル塗装だった第302飛行隊のスコードロンシップであった302号機に航空祭で別機に施したものと同様のスペシャルマーキングを描いて展示機としたもの。したがって本機がこの塗装で飛行したことはない。2022年1月17日にRF-4E(57-6906)と共に解体された。解体から2日後に「新たな機体(2機)を展示する」旨の発信が公式Twitterであったが、この情報発信までの間は解体を非難する発言が相次ぐことになり、広報発信の在り方を考えさせられる事案となった。
写真10 雄飛園のシンボル的な存在だったF-4EJ改特別塗装機。(2020年11月8日撮影)
2. マクダネルダグラスRF-4Eは14機全機が輸入され第501飛行隊に配備されていたが、2020年3月にRF-4Eの引退に伴って解隊した。57-6906号機は2010年9月11日には展示されていたことが確認されている。国内で唯一のRF-4Eの展示機だったが2022年1月17日にF-4EJ改(17-8302)と共に解体された。
写真11 国内唯一の展示機だったRF-4E偵察機。「国内唯一の展示機」の座は二代目展示機901号機に引き継がれた。(2020年11月8日撮影)
以上