用廃機ハンターが行く!

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【ソウル】ヨイドの総合安保展示場(閉鎖、撤去済、記録)

<編集履歴> 31Jul.2020公開、01Mar.2022見直し更新(第2回目、体裁見直し)

 

 かつてソウルのヨイドには11機の航空機(および1機の機首先端部分)や戦車・火砲などを展示した「総合安保展示場」があった。ここでは展示機の記録として当時の状況を紹介する。

<場所 Place>    総合安保展示場

<座標 Location> 37.5253N, 126.9255E付近

<訪問日Visit> 01May.1989, 10Oct.1993, 23Oct.1994 and 30Sep.1995. 

<行き方 Access> 既に存在しないため省略

<解説General> 

(1) ヨイド中心部に1975年に開園した朝鮮戦争の武器等の展示場。1989年5月訪問時の入場料は300W, 1994年10月訪問時には400Wだった。当初はソウル市が敷地を無償で提供していたが、1988年以降は年間4億Wに上る敷地料を請求していたこと、ソウル市がヨイドの再開発を計画していたこと、戦争紀念館開設に伴って1995年から国庫補助がなくなることなどが重なり、1995年春ごろには閉鎖された。私自身は1995年9月30日に現地を訪れたが、この時はほとんど更地となっていた。なお正式な開園日と閉鎖日は確認していない。

(2) 展示物は1994年6月4日付の報道で果川のソウル大公園に移転する旨が伝えられていたが、この話は立ち切れとなった。戦争博物館への譲渡・移転も検討されたようだが最終的にはサムスンがサチョン(泗川)の自社工場敷地に引き取ることになり、1995年内には展示場が閉鎖される予定であることが1994年9月17日付で報道されている。なおサチョンのKAI航空宇宙博物館の現状については別稿を参照願います。

【慶尚南道】サチョン(泗川)市のKAI 航空宇宙博物館 - 用廃機ハンターが行く!

【展示機 Aircrafts】 

(1) A-26A(B-26K, 64-17651/TA) KAI航空宇宙博物館で展示中

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写真1 F-80の機首部分、B-26、F4U-4、TAF-9Jなど機体のほぼ全てはサチョンに移設された。(1989年5月1日撮影)

 

(2) B-29 (O-521739 / 45-21739) KAI航空宇宙博物館で展示中

(3) C-124C (O-20943 / 52-943) KAI航空宇宙博物館で展示中

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 写真2 展示場の目玉であったB-29とC-124。(1989年5月1日撮影)

 

(4) F4U-4 (Bu.81415 / WR / VMF-312) KAI航空宇宙博物館で展示中

(5) TAF-9J (Bu.141152 / 3F /VT-22) KAI航空宇宙博物館で展示中

(6) TF-51D (K, 51-8424) "44-84669"と記入されていたこともあったようだ。移転先未確認

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写真3 複座のTF-51D。(1989年5月1日撮影)

 

(7) F-80 (S/N ?) 機首先端部分のみ、KAI航空宇宙博物館で展示中 

(8) F-86D (424 / 51-8424) KAI航空宇宙博物館で展示中

(9) F-86F (13-180 / 51-13180) 移転先未確認

(10) H-19D (64283 / 56-4283) KAI航空宇宙博物館で展示中

(11) O-1A (00000) ”00000”は偽番号。本当の番号は不明。移転先未確認

(12) T-6 (117354 / 51-17354 / TA-354)  KAI航空宇宙博物館で展示中

【展示後に移設】

(1) MiG-15(239) 亡命後に本展示場で展示されたあと、反共会館に移設

(2) Y-5(18132) 中国製An-5。亡命後に本展示場で展示されたあと、反共会館に移設とされるが、私自身は本機が本展示場に一時的にでも展示されていたという写真を見つけていない。(MiG-15は「ヨイドの展示場に展示された」という写真を見ている)

【ソウル】反共会館(現ジェイグリーンハウス)の展示機(撤去済、記録) - 用廃機ハンターが行く!

 

【その他】

【余談】

 この記事を書く際に1980年代ごろのソウル・ヨイド周辺の写真をネット(主に韓国のDaumなど)で探したのだが、驚くほど得られた写真が少なかった。日本では写真を撮ることが流行っていたため、質の程度は別として、それなりの量の写真が残っているのだけれど、韓国では当時はそれほどカメラも普及していなかったためだろうか、写真の絶対量が少ないのだ。日本人旅行者でヨイドの総合安保展示場を訪問して撮影されていた方は、ご自身のHPやブログ、あるいはSNSなどに積極的に投稿して当時の記録を残していただければ幸いに思います。

 以上