用廃機ハンターが行く!

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【雑談】航空自衛隊のAIM-120C-7の購入価格

もやは用廃機でもヒコーキでもないミサイルのハナシ。

防衛装備庁の中央調達・契約に係る情報の公表より令和元年度の月別契約情報/随意契約(基準以上)を眺めていたら、AIM-120”一式”で27,907,523,930円の契約が2019年11月22日にアメリカとの間で交わされていた。AIM-120は航空自衛隊では主としてF-35Aに搭載される中距離空対空ミサイル(射程105㎞程度)のことですが、結構な契約金額だよね。それに”一式”とはいったい何発を買うのだろう?

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写真1 F-16の翼端に装着されたAIM-120の訓練弾。横田基地公開時に撮影。


そこでアメリカ国防安全保障協力局(DSCA: Defense Security Cooperation Agency)のサイトを見たら、2019年5月17日の声明で日本政府に対して160発のAIM-120C-7の輸出を承認した旨の発表がなされていました。
https://www.dsca.mil/major-arms-sales/japan-aim-120c-7-advanced-medium-range-air-air-missiles-amraam-0


契約金額を160発で割ると、一発あたり174,422,025円ですね。ほうほう。この金額は妥当かな?と他の例を探してみたら、しばらく前にポーランドに300発を4億35百万ドルで売却との記事が目に入った。1ドル=108円として日本円で469億8千万円、一発当たり1億5,660万円。ふむ、こんなものか。


ちなみにF-35Aには通常胴体内に4発を装備しますので、のべ40機分を購入することになります。またF35Aは2020年7月時点では18機引き渡しで一機墜落、一機IRAN中の実働16機なので実働機の2.5倍量を購入することになります。次回購入がいつのことになるか分かりませんが、2020年購入までの購入量102基と今回の160基を合わせて262基です。これを4発/機で割って約65機分ですね。16機用なら備蓄量(予備保有量)は稼働機数の約4倍、納入機数が例えば22機になれば約3倍量ということになります。「備蓄量は3~4倍程度」と当面は考えておいてよいかもしれません。

 

<この記事のポイント>

1. 防衛装備庁のHPで契約情報を見ると、各種装備の調達や修理等の契約価格を知ることができる。URLはこちら。https://www.mod.go.jp/atla/souhon/supply/jisseki/index.html

2. 契約上、「一式」と記載されており、数量が判らないモノであっても、アメリカのものであれば(FMS調達なら)DSCAのコメントで数量が判る場合がある。

3. 弾薬等の備蓄量は公開されていないが、AIM-120C-7の場合には現状で稼働機の「最大で5倍」という明確な数値が算出できたこと。 

さぁ、あとは皆さんの興味次第でイロイロと調べてみよう!

 

【追記】

2020年9月18日発信の某氏のTwitter発言によると、航空自衛隊におけるAIM-120C購入数は2014年にC-7を14基、2017年にC-7を56基、2020年にC-8(更新版)を32基だそうです。その根拠・出典は不明です。またF-35Aは最大4発を搭載可能とのことです。今まで「2発」と思っていましたので、上述の記事内容を「4発」にした場合として計算し直しておきました。その結果、備蓄量は「数倍から5倍程度」から「3~4倍程度」へと変更させていただきます。

追記の追記:アメリカ国防安全保障協力局(DSCA: Defense Security Cooperation Agency)が2020年8月26日に発表したところによるとAIM-120C-8(上記のC-7の改良タイプ)を32発(と誘導部スペア1個)追加承認。63百万ドルとのことなので、1ドル109円、32.5発で割ると一発約2.1億円ですね。https://www.dsca.mil/sites/default/files/mas/japan_20-54.pdf

 

以上

編集履歴

08Jul.2020 公開

19Sep.2020 見直し更新(第2回目、AIM120C購入数に関する情報を追加)