用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

海上自衛隊 固定翼哨戒機の展示機

<編集履歴> ??Aug.2018Mixiにて公開、21Feb.2019はてなBlogに移設して公開、

30Aug.2021見直し更新(16回目、河口湖自動車博物館のS2F-1追加、表現見直し)

 
 海上自衛隊機の大型固定翼機である(対潜)哨戒機について、機種ごとの展示状況をまとめてみよう。なおPS-1飛行艇は「大型固定翼機」の「対潜哨戒機」だが、別途「飛行艇の展示機」の項で紹介する。また本項では概ね使用された年代順に記載する。

海上自衛隊では2000年前後ごろから任務内容が「潜水艦の哨戒」から「広義の哨戒」となったため「対潜哨戒機」の呼称をやめ、「哨戒機」としている。本Blogでは原則としてP-3C以前を「対潜哨戒機」、P-3Cおよび以降の機種を「哨戒機」と記載するが、特にこだわらない限りは「哨戒機」を主として使用することにする。

 
1. P2-V7
 1956年より16機がアメリカより供与され、その後48機が川崎重工(株)で製造された。4637号機がP-2Jの初号機(4701)に、4655号機がVSA可変特性実験機に改修されたほか、事故により9機が抹消されている。国内に残るのは鹿屋基地の航空史料館に展示されている4618号機のみだ。

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写真1  国内に唯一残るP2V-7。鹿屋基地史料館にて。(2008年5月17日撮影)

 

2. S2Fシリーズ
 対潜哨戒機S2F-1(4101-4160)、輸送機S2F-C(9061-9062)、標的曳航機S2F-U(9151-9154)を使用していた。2021年8月30日時点で国内に存在するのは2機のS2F-1全機展示機と1機の機首部分だけだ。

(1) 4111 河口湖自動車博物館飛行舘のバックヤードに機首部分のみが置かれている。
(2) 4131 鹿屋基地航空史料館に展示。
(3) 4150 徳島航空基地に展示。以前は千葉県木更津基地に展示されていた機体だが、1980年頃に徳島に移設した。

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写真2 鹿屋基地航空史料館のS2F-1(2008年5月17日撮影)


3. P-2J / UP-2J
 1971年にP-2V7(4637)を改造した初号機が納入され、1994年までに初号機を含む全83機が損耗することなく退役した。運用期間中に4機がUP-2Jに改修され、また1機は外見はほぼ変わらないものの飛行特性を変更できるVSA機に改修され各種の飛行データ取得やテストパイロット教育に使用された。

<展示機・教材機>

 現在は全機展示が3機、機首部分の展示が2機分、合計5機が存在する。 なお4774号機が下総基地第3術科学校で整備教育に用いられていたが、後述するP-3C(5020)を得たことで廃棄されたものと考えられる。ちなみに4774号機は格納庫の都合か垂直尾翼の先端を切られた姿となっており、2012年7月21日のちびっ子ヤング大会が一般公開された最後の機会となったようだ。
(1) 4701 初号機の機首部分のみが東京都江東区の個人宅
(2) 4770 鹿屋基地航空史料館屋外
(3) 4771 鹿屋基地航空史料館屋外
(4) 4782 岐阜県岐阜かかみがはら航空宇宙科学館
(5) 4783 最終号機の機首部分のみが鹿屋基地航空史料館内に展示

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写真3  個人宅に展示されているP-2J初号機の機首。(2017年4月22日撮影)

 

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写真4 下総基地で教育用に用いられていた4774号機。(2008年7月19日撮影)



4. P-3シリーズ
 海上自衛隊では1983年から101機のP-3Cを調達して運用してきた。このほかにUP-3C(1機)、UP-3D(3機)、EP-3(5機)があり、また既存のP-3Cから5機を改修したOP-3C(積雪による格納庫倒壊により1機損傷抹消、残存4機)が存在する。哨戒型P-3Cはすでに約45機が用廃もしくは事故等で抹消されている。

 このうち5032号機は1992年3月31日に硫黄島で脚を出し忘れて胴体着陸した後に出火し、焼損・抹消となった。現時点では唯一の事故抹消機だ。

 また2014年2月15日には大雪のために日本飛行機(株)の整備格納庫の屋根が潰れ、整備中だった3機のP-3Cと1機のOP-3Cが損壊し、修理不能と判断されて抹消された。この事故では他にEP-3CとUP-3D各1機が損傷したが修復された。さらに同じ格納庫内で整備中だった4機の米海軍のP-3Cも損傷し、このうち3機が廃棄されている。

EP-3は令和13年度ごろから減勢が始まる予定であり、後継となる電子情報収集機の研究が令和3年度(2021年度)より開始される。

<展示機・教材機>

 耐用命数が尽きて用廃となった5020号機は下総基地第3術科学校にて教材として使用されているが、これまでのところ基地や博物館などで展示機となった機体は存在しない。 
(1) 5020  下総基地第3術科学校にて教材として使用中

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写真5 第3術科学校で整備教育に使用されている5020号機。方向舵は外されている。(2015年9月26日撮影)

 

5. P-1
 2007年9月に試作1号機が初飛行し、現在も生産中の現用機。抹消機は無く、用廃展示機は存在しない。

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写真6 バリバリの現役機P-1。用廃機が生ずるのは2040年以降だろう。(2016年2月11日厚木基地にて撮影)

以上