<編集履歴> 20Apr.2020公開、20Apr.2022見直し更新(第8回目、第一工科大学のH13H撤去)
別記事にUH-1B/H、OH-6J/D、KV-107II、TH-55Jの展示機の状況について記しているが、本項ではそれ以外の機体の現状をまとめてみよう。機種は多いが現存機数が少ないため、ここでは現存機のみを紹介する。
【H-13(ベル47)】
1954年の自衛隊発足時から1982年にかけてH-13Eを6機(30001-30006)、 H-13Gを2機(30051, 30052)、 H-13Hを75機(30101-30175)運用してきた。現在は次の2機が国内に残されている。
(1) 30003 H-13E 所沢発祥記念館の保管庫に格納されており、イベント時以外は非公開。2019年4月9日公開時に存在確認している。
(2) 30120 H-13H 愛知県幸田町郷土資料館、2020年8月24日存在確認。周囲は金網で囲われているため、一眼レフカメラのレンズで撮影すると画面に金網が入る。スマホやコンデジなどで撮影した方がベターかもしれない。
<教材使用後撤去>
(1) 30124 H-13H 鹿児島県の第一工科大学(旧第一工業大学)教材機で、2019年10月公開時に確認されていたが、2020年11月以前に陸上自衛隊に返却された。GE-Proの2020年11月9日取得画像で国分駐屯地の廃車両置き場(31.7243N, 130.7495N)を見ると国分駐屯地でOH-6Dと置換された先代広報展示機OH-6Jと並べて置かれている姿を確認できる。本機は2022年4月20日時点でも存在することを確認している。
写真1 愛知県幸田町郷土資料館のH-13H。(2016年3月12日撮影)
【H-13KH(川崎ベル47G3B, KH4)】
30201-30219の19機が運用されたが、現存するのは福島県のオールドカーセンター・クダンの30217号機のみ。この機体は「30216」と記入されている。2019年8月24日に訪問し存在を確認している。
<展示後廃棄>
(1) 30214 JARGのS/N本(2007/2008)によると東村山の国際航空専門学校にあるとのことだが現状不明。個人的には既に撤去・廃棄されているものと考える。(2020.6.23)
(2) 30219 成田航空専門学校(現成田つくば航空専門学校)に2012年10月22日には存在していたが恐らく既に撤去・廃棄されているものと考える。(2020.6.23)
(3) 30213 永らく所沢航空発祥記念館の保管庫に格納されていたが、2008年前半ごろに日本大学生産工学部(津田沼校)に移設された。しかし2021年2月19日に船橋市の三咲小鳩保育園のOH-6Dと共に撤去解体された。同じ搬送車に載せられた写真がネット上に存在している。(2021.5.27)
解体撤去時の写真はこちら:昔のヘリコプター?ねたの画像
写真2 Old Car Center KudanにあるH-13KH。30216と書かれているが実際は30217号機。(2019年8月24日撮影)
【H-19C】
こちらも1954年の自衛隊発足時から運用を開始し、1976年に引退した機体。次の二機が存在する。
(1) 40001(JG-0001) 所沢航空発祥記念館 常設展示 機内を公開しているため痛みが激しい。開館当初より展示されているのでそろそろ保管庫の他の機体と入替えて補修することが望ましい。2021年に廃棄する公告が存在したことが発覚。今後が注目される。
(2) 40012(JG-0012)山梨県 自動車博物館 バックヤードに手をつけられずに置かれている。
写真3 所沢航空発祥記念館のH-19C。(2018年8月22日撮影)
【V-44A】
1959年から1969年まで2機が運用された。50002号機が所沢航空発祥記念館に残されている。航空自衛隊機は2機現存するが、陸自機としては唯一の貴重な機体だが、2021年にはこれを廃棄する公告が存在したことが発覚。今後が注目される。
なお1号機(50001)は丘珠駐屯地での展示(1984年存在確認)を経て、美幌航空公園に展示されていた(2006年存在確認)が、2016年8月以降(12月13日ごろ)に解体・撤去された。
写真4 所沢航空発祥記念館のV-44A。(2018年8月22日撮影)
写真5 木更津駐屯地に展示されていたころのV-44A。(1985年10月13日撮影)
【OH-1】
現役の国産の観測ヘリコプター。1996年から運用中。2015年2月17日の訓練中にエンジントラブルを起こし水没させた事故で一機(32634)を失うも用廃展示機は存在しない。その後の2015年12月4日に生じた別のエンジントラブル対応のため2015年末より2019年2月末まで飛行停止となっており、実質的には約4年間飛行停止が続いた。2022年12月9日付読売新聞は政府は本機種(およびAH-1SとAH-64D)を無人機で代替する方針であることを伝えた。
写真6 2022年12月9日付読売新聞で無人機で代替置換される方針が伝えられたOH-1。(2008年4月13日高遊原分屯地祭にて撮影)
【UH-60JA】
現役の中型輸送ヘリコプター。1998年から運用中。事故抹消なし、全機運用中。
写真7 高価なため配備機数がなかなか増えないUH-60JA。(2017年2月25日木更津駐屯地祭にて撮影)
【AS332L】
1986年から3機(00001-00003)運用していたVIP専用の人員輸送ヘリコプターで全機が引退済。用廃後は関東補給処(霞ヶ浦駐屯地)に保管されていたことが2009年5月14日の公開時に確認されているが、それから10年以上を経た現在も保管されているかどうかは不明。
【EC-225LP】
AS332の後任となったVIP輸送ヘリコプター。2006年9月25日に1号機が納入された。2号機は仙台空港で整備中に東日本大震災時に津波にのまれて除籍され、代替機として4号機を導入している。
写真8 VIP輸送に使われるEC-225LP(2012年10月13日木更津駐屯地祭にて撮影)
【TH-480B】
OH-6Dの代わりの教育用ヘリコプターとして導入し、北宇都宮駐屯地と明野駐屯地にて合計30機を運用中。事故抹消なし、用廃展示機は発生していない。製造会社が経営不振で倒産、中国系企業に買われてしまったので整備をどうするのか?と心配されていた(本当に心配していたかね?先を見ず、目先の安物を買って銭失いをする格言を地でいかせたのは財務省かぁ?という批判の声しか耳に入ってこないのだが・・・)が、何とか中国色は排除して運用することになった。
写真9 全30機が運用中のTH-380B。(2018年5月27日北宇都宮駐屯地祭にて撮影)
【AH-64D】
AH-1Sの後継として13機を導入した戦闘ヘリコプター。機体価格が高額なことなどから調達終了。1機が事故抹消(74502)となったため12機を運用中。2025年にはD型の米軍サポートが終了するハズで、E型への改修を行うのか運用をやめるのかが注目されていたが2022年12月9日付読売新聞は政府は本機種(およびAH-1SとOH-1)を無人機で代替する方針であることを伝えた。用廃展示機は発生していない。「りっくんランド」に展示しようとしても既存のAH-1Sを追い出さないとスペースがない。「機体の展示保存」の将来はあまり期待できないように考えている。
写真10 習志野演習場から離陸するAH-64D。(2017年1月8日撮影)
以上