用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【河南省】魯山の航空展覧館(閉鎖、記録)

<編集履歴> 08Feb.2020公開、09Feb.2020見直し更新(第1回目、写真追加、文書見直し)

<場所 Place>      河南省平顶山市鲁山县の魯山基地にある航空展覧館(閉鎖済)

<座標など Location> 

1) 33.6704N, 112.8828E    航空展覧館

2) 33.6852N, 112.8824E    管理事務所

3) 33.6700N, 112.8757E    展示機Q-5

4) 33.6653N, 112.8586E 集積所

5) 33.7500N, 112.8976E 魯山火車

6) 33.7478N, 112.8976E   基地滑走路を走り抜けるバスの発着場

7) 33.7487N, 112.9052E バスターミナル 

<訪問日 Visit>  17Jul.2016

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  写真1 正門前の小高い丘より。破れた偽装網の隙間から中を撮っていたら取り調べを受けることになってしまった。(2016年7月17日撮影)

 

<行き方 Access>

(1) 鄭州のバスターミナルから平頂山のバスターミナルに移動する。

(2) 平頂山のバスターミナルから魯山のバスターミナルに移動する。

(3) 魯山と平頂山あるいは鄭州を結ぶ列車が一日に2-3本あるが、利用しやすい時間に停車するものは無いかもしれない。まずはバスでの移動を考えよう。

(4) 魯山バスターミナルから西に約680mを行くと駅に向かう通りとの交差点脇に旧バスターミナル(老街ターミナル)があり、ここは魯山周辺エリアのローカルバスターミナルとなっている。その一角に「飛机場」と書かれた立て看板があり、ここから一日に10本ほどバスが魯山基地まで走っている。2016年7月時点のバス時刻表は次の通りだった。このうち早朝の三便(0620, 0710, 0810)以外は滑走路を走り抜ける。

魯山発:0620, 0710, 0810, 0910, 1010, 1130, 1300, 1430, 1540, 1730

飛行場発:0700, 0800, 0900, 1000, 1100, 1240, 1400, 540, 1640, 1820

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写真2 魯山の旧バスターミナルに停まっている飛行場行のバス。(2016年7月17日撮影)

 

<General> 

(1) 2016年6月30日までは開館していた軍事基地内の航空博物館。軍は金を取って商売してはならないとのお達しがあったようで2016年7月1日以降は閉鎖されている。 

(2) ここで上述した座標で基地の様子を見ていただきたい。

 2020年2月8日に確認したところ、基地滑走路脇に237機のJ-6と9機のH-5が確認できる。またハンガーのように見える建物(実際は屋根だけ)の下に二列あるいは三列でJ-6がギッシリと収まっている。恐らくは全部で400機以上の退役したJ-6がこの基地に集められているのだ。

(3) 衛星写真を見て判るように滑走路両端から伸びた誘導路は基地南側の山の中に伸びており、その先に山肌をくり抜いた航空機駐機場がある。が、当然ながら近くまでは行くことができず、随所に柵が張り巡らされている。基地周辺は軍事管理区だ。

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写真3 展覧館前辺りから用廃機集積場方面に続く誘導路は生活道路として利用されている。(2016年7月17日撮影)

 

<取調べを受けた話>

1. スパイ防止法が発効した現在の中国において、このエリアに外国人が踏み込んだ場合にどのようなことになるかは予想できない。ここでは私が訪問した際のときの様子を紹介する。

2. まずローカルバスターミナルからの小型バスには何ら問題なく乗れてしまう。0810発のバスに乗車したので滑走路は走らなかったが、その後の便はズラリと並んだJ-6の列線を眺めながら展示館入口前を通過し、さらに山奥の方へと進んでいく。私自身は展示館前で下車したので、バスがどこまで行くかは確認していない。

3. 最初に誘導路に沿って航空機集積場(上記座標4)に行ってみる。途中の施設の前にはQ-5が展示されているのが見える(上記座標3)。航空機集積場の手前には偽装網をかけられたゲートがあり中を見ることはできなかったが塀の上に突き出た機体の垂直尾翼の一部のみは見ることができた。

4. この先には行っても何も無いことが判っていたため、展覧館に引き返す。途中でQ-5の撮影を試みたが、撮影しているところを兵士に見つかり、その場で画像を消去させられた。ここではそれ以上のトラブルには発展せず、すぐに開放された。

5. 展覧館に戻ると2016年7月1日に閉館した旨の張り紙があった。ボロボロの偽装網のかけられたゲートの隙間から中を覗き、数枚写真を撮ったところで門衛からの質問を受けた。中国語は話せないので筆談を試みたが、それを遮って無線でどこかと連絡をし、やってきた車に乗せられて滑走路脇の管理事務処(上記座標2)に移送された。

6. ここでいくつか質問を受け、いい加減な中国語で対応していた。やがて待つように言われ、2時間ほどすると日本語を話せる警官がやってきて再び取り調べを受けた。彼は平頂山市在住であり、その日は非番で朝食前に呼集がかかったそうだ。かわいそうに、その後約3時間ほど取り調べの仲介をすることになった。

7. 取り調べを始めてから6時間ほど経った15:30ころ(通訳の警官が来てから2.5時間ほど経ったころ)に解放され、警官と共に二杯の麺の差し入れがあった。警官と雑談しながら、やや伸びていた麺をすすり、最後に車に乗せられて魯山のバスターミナルまで別な軍人に送ってもらった(警官は自分の車で平頂山に戻った)。取り調べの間に滑走路にあるJ-6に当たる光がだんだん良くなっていくのを眺めていたり、帰り際にJ-6の列線の中を走り抜けてきたのだが、これを撮ることができない方が、僕にとっては「拷問」であったと今でも思っている。

8. 今後、中国の体制・制度がどうなるかは判らないが、現状ではバスに乗れば難なくJ-6の列線を間近に見ることが出来ることと、下手をすれば取調べを受けることになること、また現行法の下ではそれだけでは済まない可能性があることだけを今一度確認しておきたい。 

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写真4 正門の内側に並ぶ展示機(2016年7月17日撮影)

 

<後日談>

(1) 外国人が訪ねてきたことは彼らにとっても衝撃的な出来事だったのだろう。11月ごろまでに正門のボロボロだった偽装網はキレイなものに交換され、中を覗くことができなくなった。中国にしては異例と思える迅速な対応だったと思う。

(2) また2019年夏頃までにはゲート前30m付近にも新たな伸縮式の簡易ゲートが設けられ、正門ゲートに近づくこともできなくなった。

(3) 中国のネット上には「正門は閉まっているけど、脇の山を登っていけば展示機を見られるよ」という写真付きの投稿が2016年秋~2017年春ごろにあったが、外国人がこれを真似をするとタダでは済まないと思う。

(4) 2020年1月時点においても中国のネット上には「航空展覧館は開館しているか?」という問い合わせをする投稿が続いているが、軒並み「閉鎖だよ」という回答が寄せられている。ただし滑走路はバスの走る公道としても利用されているため「滑走路上の機体を見ることは出来る」との回答も散見される。周辺の看板には滑走路上の撮影は禁止と書かれていたが、”不届き者”が滑走路上で撮影したスナップ写真にJ-6が並んでいる様子が写っているので興味ある方は探してみてほしい。

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写真5 こちらも正門の内側に並ぶ展示機(2016年7月17日撮影)

 

 以上