用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【山東省】青島市の海軍博物館

<編集履歴> 28Jan.2020公開、31Oct.2023見直し更新(第6回目、J-8IIのS/N判明、見直し実施)

<場所 Place>       青島市海軍博物館

<座標Location>    36.0537N, 120.3233E

<訪問日 Visit>  28Apr.2007および 24Jun.2017

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写真1 偵察機JZ-5とベリエフBe-6P(2017年6月24日撮影)

 

<行き方 Access>

(1) 青島市内各所から市バスを利用。魯迅公園下車徒歩2分。利用できるバスNo.は15, 26, 202, 223, 304, 312, 316, 321, 501, 802. 

(2) 地下鉄3号線人民会堂駅下車、約900m。

(3) 青島駅から約2.4kmなので海沿いを散歩がてら歩いても30分ほどで行ける。

<解説General> 

(1) 1989年10月1日に正式開館した博物館。2005年7月21日取得画像以降から展示物を敷地内各地に移動させながら敷地内を整備して新しい博物館を建設していたが、2021年7月1日にようやく竣工した。一般開放は7月2日からだったようだがコロナの影響を受けてほどなく臨時閉館となっている。本来は年中無休、入場時間は0830-1730(冬季は1630まで)でリニューアルオープン後は入場無料としているようだが、コロナによる入場制限が無くなった頃にはまた改定されることだろう。

(2) 屋外展示物は1989年の開館当初からあるものが多いが、リニューアル公開に際して、ほぼ全ては塗り直されたようだ。他では見られない機体やミサイルなどお宝級の展示物もいくつか存在する。

(3) 上述のとおり約16年の歳月をかけて敷地を整理しながら新たな展示館を建設していたため、2005年7月以降から2021年初めにかけては航空機の展示場所も何度か移動されている。2021年12月6日時点では、ネット上には2021年のリニューアル以降に撮影された写真の掲載はまだ少なく、大部分は16年間に渡る暫定展示期間中に撮影された写真だ(もちろん本Blogもその一つだ)。機体番号に変化は無いようだが、機体配置について言明しようとするのであればGE-Pro画像と見比べるなどして、その配置になっていた時期についても述べるようにしよう。

(4) 屋外展示機は2021年10月19日取得のGE-Pro画像では22機が確認できる。リニューアルに際して2機ほどを追加したようだ(おそらくJ-8IIとJH-1)。

【展示機 Aircrafts】

(1) ベリエフBe-6P (9043) ソ連製の飛行艇。中国海軍ではこの後、SH-5を導入したが十分な性能が得られず飛行艇運用は衰弱した。2000年代にSH-5は運用を終え、2010年代になって新たにAG-600大型飛行艇を開発したが、その離着陸の様子を見る限りでは外洋での運用は難しいと思う。したがってB-6Pは中国海軍でマトモに運用できた唯一の飛行艇ということができるのではないだろうか。機体はここ青島のほか、北京郊外の中国航空博物館にも1機が展示されている。

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写真2 2007年訪問時の塗装。左方向舵が欠落している。(2007年4月29日撮影)

 

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写真3 2017年訪問時に撮影したベリエフBe-6P飛行艇。(2017年6月24日撮影)

 

(2) IL-14M (9232) 方向舵は新たに作られたもののようだ。改装後も展示されている。

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写真4(2007年4月29日撮影)

 

(3) J-5 (81044) 2017年訪問時にも確認している。改装後も展示されている。

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写真5 機首番号の記載位置がやや上側によっており、おかしいが、改装後には修正・再塗装されている。(2007年4月29日撮影)

 

(4) J-5 (81254) 2017年訪問時には確認できなかったが、改装後も"81254"号機は展示されている。

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写真6(2007年4月29日撮影)

 

(5) JJ-5 (83969) 本機は2007年訪問時にすでに存在しており、リニューアル後の現在も見ることができる。複座のJJ-5はかつては2機展示されていたのだが、もう一機の”82960”号機は2015年頃までに撤去された(詳細後述)。

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写真7(2007年4月29日撮影)

 

(6) JZ-5 (7514) 胴体中央部下にカメラベイを設けた偵察型のJ-5。私の知る限りでは中国国内にあるJZ-5は本機のみだ。改装後も展示されている。

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写真8 偵察機JZ-5。主脚付近の胴体下部にカメラベイがある。(2017年6月24日撮影)

 

(7) DF-102 (84053) ここにはJ-6量産前後の時期に独自に手を加えたDF-102(東風102)が展示されている。本Blogで紹介する"84053"号機の写真は2007年訪問時のものだが20、リニューアル改装後も引き続き展示されている。一方で中国全土で見ることが出来るノーマルのJ-6はここ青島海軍博物館には展示されていない。

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写真9 DF-102。「東風102」と表記する方が個人的にはしっくりとする。(2007年4月29日撮影)

 

(8) JJ-6 (83959)  2007年訪問時には確認していない機体だ。GE-Prog画像より、おそらく2009年7月22日以後、2010年1月10日までに搬入・展示された。改装後も展示されている。

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写真10(2017年6月24日撮影)

 

(9) J-7I (81890) 改装後は胴体下の燃料タンクを水色に塗って展示されている。

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写真11(2017年6月24日撮影)

 

(10) J-8I (83551) GE-Pro画像表示が狂っているが、恐らくは2011年12月31日から2012年3月9日の間に搬入されている。改装後も展示されている。

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写真12(2017年6月24日撮影)

 

(11) J-8II (81194) リニューアル時に新たに展示された機体のため、写真は無い。

 

(12) Q-5 (81802) 2007年4月に訪問した際には機首の番号は記載されていなかった機体だろう。2007年にはもう一機のQ-5"82357"号機があったが、2017年訪問時には確認できなかった。”81802”号機は改装後も展示されている。

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写真13 2007年訪問時には機首番号が記入されていなかった。(2007年4月29日撮影)

 

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写真14 2017年訪問時にはマトモに見ることはできなかったQ-5 (81802)。(2017年6月24日撮影)

 

(13) JH-7 (81766) リニューアル時に新たに展示機として加わった。2021年7月23日撮影の写真をJETPHOTOS.comで見ることができるが”81766”という文字以外の注意書きは一切なく、また射出座席も未装備のようだ。レプリカの可能性がある。

(14) H-5 (80002) 特記することの無い、博物館設立の当初からの展示されているH-5だ。改装後も展示されている。

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写真15 H5爆撃機。左に見えるのは電子偵察機HZ5の翼端燃料タンク。

(2017年6月24日撮影)

 

(15) HR-5(HZ-5, 82025) 超レアな電子偵察機。翼端が電子ポッドのハズだが、残念ながら展示初期からすでにバケツのような形の模造品を取り付けているようだ。改装後も展示されている。

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写真16(2007年4月29日撮影)

 

(16) CJ-5 (S/N ?)

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写真17(2017年6月24日撮影)

 

(17) CJ-6 (S/N ??)

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写真18(2017年6月24日撮影)

 

(18) Y-5 (9206) 改装後も展示されているが、2023年1月時点ではS/Nは描かれていない。

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写真19(2007年4月29日撮影)

 

(19) Y-7 (S/N ?) GE-Pro画像によると2012年3月9日から同年11月30日の間に搬入されている。

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写真20(2017年6月24日撮影)

 

(20) Z-5 (94000)

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写真21 Z-5ヘリコプター。この塗装での展示はやや珍しい。(2017年6月24日撮影)

 

(21) Z-8 (9436) SA.321シュペルフルロン(Super Frelon)の中国生産機。GE-Pro画像によると2009年7月22日から2010年1月16日までの間に搬入・展示された。

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写真22(2017年6月24日撮影)

 

【その他の展示物】

(1) 原子力潜水艦「長征一号(401号)」が2017年から公開された。艦内を見学する際には別途100元が必要となる。敷地内にあるゲートで料金を払い、しばらく待機する。見学する際には人が少ない時には約30分毎にツアーが催行される。人の多い時には10名くらい集まると随時ツアーが出発する。艦内撮影は不可。潜水艦に近づく前にカメラや手荷物はロッカーに入れさせらるため、停泊している潜水艦の姿を写真に撮ることすらできない。しかし!スマホiPadを持ち込む方が多く、艦内でもバシバシ撮影しているのが実情だ。さすがは「上に政策あれば下に対策あり」のお国柄。スマホぐらいは持参して見学しよう。

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写真23 原子力潜水艦「長征一号」のセイル部と背景の高層ビル群。(2017年6月24日撮影)

 

(2) 原子力潜水艦長征1号の反対側には2020年2月26日画像以降同年9月20日までの間に潜水艦一隻が係留された。恐らく既に見学可能となっているものと思われる。

 

【展示後廃棄】

(1) Q-5(82357) 2007年4月に訪問した際に展示されていたQ-5”823557”号機はおそらく2011年4月20日以降、2012年3月9日の間に行われた全機場所移動の際に撤去されたものと思われる。ロケット弾ポッドを装着したやや珍しい形態だったので少々残念だ。

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写真24 主翼にロケット弾ポッドを付けたQ-5。(2007年4月29日撮影)

 

(2) JJ-5 (82960) 2007年訪問時に2機展示されていたJJ-5のうちの一機で右前脚ドアに赤い星を一つ描いていた。GE-Pro画像によると2014年12月13日以降、2015年10月27日までの間に撤去されたJ-5系統の機体が一機存在するが、おそらくは本機だろう。

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写真25 右前脚ドアに赤い星を描いていたJJ-5。(2007年4月29日撮影)

 

(3) 中華民航のアントノフ (028) 詳細不明。

 

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写真26(2007年4月29日撮影)

 

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写真27 写真26を後ろ側から見る。(2007年4月29日撮影)

 

(4) 2007年訪問時にあった詳細不明のLi-2 (DC-3/C-47)の機首部分

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写真28 この画像以外は撮影しておらず、詳細は不明だ。(2007年4月29日撮影)

 

(5) 旧ソ連のロメオ級潜水艦(中国製033型237号艦)が展示され、艦内も有料公開していたが、こちらは老朽化したため2012年11月頃に現地で解体された。中国の検索エンジン百度にて丹念に探すと解体中の写真が見つかる。なおGE-Pro画像を見ると2012年11月30日には船体が確認できるが、2013年1月23日にはすっかりなくなっている様子が確認できる。解体に際しては、潜水艦のある港の一角を仕切ったうえで、海水を抜いて重機を投入しており、なんだかスゴイやり方をやっているように思う。

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写真29 2012年に現地で解体撤去されてしまった033型237号潜水艦。(2007年4月29日撮影)

 

以上