用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 CH-47JおよびCH-47J/LRの用廃機

<編集履歴> 27Dec.2019公開、17Jan.2022見直し更新(第2回目、LR型退役始まる)

 

 航空自衛隊では1986年からCH-47Jを輸送業務のために運用している。納入初号機67-4471から87-4486号機までの16機を「在来型」と呼び、2002年に納入された27-4487号機からは燃料タンクを大型化した通称「LR型(LongRangeの略)」が納入されている。2018年度末をもって「在来型」はどうやら全機用廃となったようだ。このことを資料やネット情報よりこれを確認してみよう。

 2022年1月13日には入間基地に着陸した後のLR型に対してウォーターサリュートが実施された。この日が最終フライトだったものと思われる。いよいよLR型も用廃が始まった

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写真1 航空自衛隊のCH-47J在来型は2018年度もって姿を消したと考えられる。

(2007年11月3日入間基地祭にて撮影)

 

<CH-47「在来型」全廃に関する確認結果>
1. 令和元年度の防衛白書の資料にある保有機一覧表より、2019年3月31日時点で航空自衛隊保有するCH-47Jは15機だ。ちなみに防衛白書によると2010年3月31日には16機を保有していたが、2011年3月31日からはずっと15機となっている。

 

2. 2019年12月時点で最新のCH-47J/LRのSNは37-4501(2013年納入)だ。ここから15機を遡って数えると27-4487号機(LR型初号機)となる。FlyTeamさんへに投稿された写真より27-4487号機の最終撮影日を確認したところ、2019年9月8日に三沢で確認されていた(8月31日には八雲分屯基地に展示)。よって現役確定。


3. 在来型CH-47Jの最終号機のSNは87-4486で次の27-4487よりも約4年(最短でも3年)の差がある。このため在来型の486号機より先に487号機以降のLR型が退役することは考えられない。また87-4486が最後目撃された日時をFlyTeamさんに掲載された投稿写真で確認したところ、福岡で2017年3月29日に撮影されたものが最後であった。

 

4. 航空自衛隊のCH-47J・CH-47J/LRに事故抹消となった機体は存在しない。

 

5. 2022年1月13日に入間基地に於いて、着陸後のCH-47J(S/N?)に対するウォーターサリュートが実施された。恐らくはCH-47J/LRの最終飛行だったのだろう。「在来型」が退役したのは2018年度。在来型最終号機納入ととLR型初号機納入の間には3~4年の差があり、2021年度にLR型の退役初号機が発生したのは順当な流れと考える。

 

<まとめ・結論>

1. 上記のことから在来型のCH-47Jは全機退役しており、2019年12月末の時点ではLR型初号機の27-4487号機以降の機番が現役であると思われる。

2. 今回の確認の作業において、防衛白書航空自衛隊のCH-47Jの保有機数が間違って記載されている可能性が考えられた。すなわち上述の通り2011年度(平成23年度)の防衛白書以降では保有機が15機となっているが、2013年に37-4501が納入され、2017年3月29日に87-4486が目撃されたのであれば、2014、2015、2016年度の保有機数は15機ではなく16機もしくはそれ以上となっていなければならないハズだ。おかしいぞ。

なお防衛白書ではファントムの機数(岐阜に在籍した改でないファントムの機数)を間違えて記載していたコトが2012年度ごろにあった事が判明している。この類の記載ミスが生じていたものと考えるが、白書はのちのちの検討資料になるものなので、数値の管理・確認はしっかりとやっていただきたいものである。 

以上