用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

航空自衛隊 T-6の展示機

<編集履歴> 12Dec.2019公開、29Jan.2023見直し更新(第13回目、展示機リストをS/N順にした)

 

 航空自衛隊では1955年1月20日から1957年11月12日までの間に米軍からT-6Dを10機、T-6Fを10機、T-6Gを160機の供与を受け、パイロット育成のための練習機および救難機として使用した。用途廃止後は供与機数の約三分の一に相当する55機程度が教育・広報用として全国各地に貸与された。この時に貸与した機体の記録は2021年度時点での防衛省の物品管理書類には残されていないようで、入手した資料には記録が記載されていなかった。唯一ヤマザキマザック展示機が無償貸付機である旨の記録が残っていたが、これは新たに貸与する際に便宜上必要だったから登録したのだろう。上述した55機の民間貸付機のうち、すでに貸与先が存在しなくなったり、廃棄されたものが民間人・民間業者の間で「流通」して、民間の展示機や個人コレクションとなっているものと考えている。

 2023年1月29日時点では自衛隊基地・施設に6機、民間施設、公共の公園、教育機関での教材等で12機の合計18機が残されている(うち1機は格納中で非公開、またもう1機はコクピット部分のみ。他に解体待ちの状態のものが松島基地に1機ある)。

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写真1 芦屋基地のT-6D(52-0002)。鉄骨で主翼を支えている。(2018年2月18日撮影)

 

【展示機一覧Aircrafts】(S/N順)

(1) 52-0001 / T-6D 愛知県豊川市 蒼空ハッスルAフィールドに置かれている。2023年1月時点では機首先端(スピンナー)からコクピット後方までの胴体部分と胴体から主脚部分までの翼部分が残っている。分割可能な部分で分離されている状態だ。主翼は機体近くに積み重ねてあるようだ。

(2) 52-0002 / T-6D 福岡県芦屋基地 保存状況は悪く、撤去は時間の問題だろうか? 

(3) 52-0010 / T-6F 静岡県浜松広報館 格納中のため非公開の保存指定航空機

(4) 52-0011 / T-6F 静岡県静浜基地 保存指定航空機

(5) 52-0041 / T-6G 山梨県日本航空学園

(6) 52-0075 / T-6G 愛知県小牧基地掩体壕内(奈良基地より2011年9月15日搬送)

(7) 52-0083 / T-6G 奈良県大和郡山市奈良工業高専(銀色塗装)

(8) 52-0084 / T-6G   岐阜県美濃加茂市ヤマザキマザック工作機械博物館にてコクピット部分をスケルトン展示としている。元和知幼稚園展示機、空自の無償貸付機。

(9) 52-0098 / T-6G 山梨県河口湖自動車博物館(元福岡県久留米市石橋文化センター展示機)

(10) 52-0099 / T-6G 埼玉県所沢市航空発祥記念館(元都立航空高専展示機)

(11) 52-0100 / T-6G 岐阜県美濃加茂市ヤマザキマザック工作機械博物館、元岐阜基地展示機、空自の無償貸付機

(12) 52-0101 / T-6G 京都府南丹市るり渓温泉ゼロ戦研究所。ゼロ戦風に濃緑色に塗装。2022年に近い将来敷地改装を行うために譲渡先を探す旨の報道があった。

(13) 52-0118 / T-6G 宮崎県都城市のホテル2 in1(31.7057, 131.0326)入口にアイキャッチャーとして置かれている。

(14) 72-0131 / T-6G 山梨県身延町個人コレクションのため座標は非公開とします。本機は甲府舞鶴公園(現舞鶴城公園)展示、入間基地に返却、OldCarCenterKudan展示、横浜の喫茶Avion展示を経て、2012年2月には当地に存在していた。

(15) 72-0142 / T-6G 群馬県桐生市桐生が岡公園。キャノピーは無くなりパンチングメタルで整形されている。

(16) 72-0147 / T-6G 岩手県陸上自衛隊岩手駐屯地。2014年公開時にはオリーブドラブに塗装されていたが、2019年6月公開時には元の黄色塗装に戻されていた。

(17) 72-0169 / T-6G 宮崎県新田原基地

(18) 72-0176 / T-6G 福島県オールドカーセンタークダン。”72-0022”と記載されている。かつて入間基地に展示されていた機体が廃棄されたあと、回収して再度組み立てた機体だ。

 

【その他・注意事項など】

(1) 52-0041 / T-6G  Jウイング誌2021年8月号別冊「全国保存機・展示機ガイド2021」p.21を読むと本機は「廃棄の可能性あり」との注意書きが記されているが、2021年8月中旬に現地を訪問された方がTwitterに写真を投稿したことで、存在していることが確認された。なお「廃棄の可能性」とは編集部が空幕広報室より入手した資料中に本機が含まれておらず、締切までに存在が確認できなかったために記載した一文だ(この部分の執筆はワタシです)。 

(2) 52-0098 / T-6G Jウイング誌2021年8月号別冊「全国保存機・展示機ガイド2021」p.20に本機は掲載されていない。これは元ネタとして利用した本Blog記事(当時)において記載漏れしていたことが原因だ。2021年8月中旬に現地を訪問された方がTwitterに写真を投稿したことで抜け落ちていたことに気づき、本記事を加筆修正した。

(3) 52-0129 / T-6G 宮城県 松島基地 2017年の台風で破損した展示機(080と記入)の胴体が松島基地内に放置されている(2019~2022年夏に確認)。おそらく修理されること無く解体・撤去されることだろう。

 

【展示後廃棄】(原則として本Blog立ち上げ後に廃棄されたもののみを紹介する)

(1) 52-0014 / T-6F 兵庫県 2006年に神戸電子機械(株)にコクピット部分が飾ってあるところを撮影されているが、2019年12月12日にGoogle MapのStreet viewを見たところ、すでに存在していなかった。

(2) 52-0082 / T-6G 石川県小松基地 掩体壕内には旧軍風迷彩塗装の機体があったが、2021年4月1日にここを見学した日本戦跡協会さんのTwitter投稿によると本機は姿を消していた。基地内に保管されているのか廃棄されたのかは不明だが、本Blogでは存在が確認されるまでは廃棄されたものとして扱う。

(3) 52-0128 / T-6G 埼玉県熊谷基地 2021年2月12日までに解体撤去された。

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写真2 小牧基地内の掩体壕に展示されているT-6G。基地公開時でも近くに寄れないことが多く、写真コレクションに加えるのは大変な機体だ。(2016年3月13日撮影)

 

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写真3 群馬県桐生が岡公園に展示されているT-6G。キャノピーの窓は無くなり、パンチングメタルで覆われている。2022年春ごろには再塗装されて綺麗な外観になっている。(2019年8月3日撮影)

以上