用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

台湾における展示機の概要

<編集履歴> 30Oct.2019公開、05Feb.2022見直し更新(第11回目、地域分類追加)

 

【概要と特徴】

1. 台湾は三重を含む近畿地方よりやや大きく、九州よりやや小さい程度の面積を持つが、その中に基地内のデコイや教育機関の実習機を含めて126ヶ所の用廃機展示場がある(2020年10月14日時点のspottingmode.com登録数)。 

本Blogではおおむね次のエリア等に分割して記事を掲載する。

(1) 台湾_総合: 台湾全土に関する事項

(2) 台湾機体ごと:台湾軍の機体ごとのまとめ記事

(3) 台湾北部:台北縣、新竹縣、桃園縣、宜蘭縣および北部の主要市

(4) 台湾中部:苗栗縣、台中縣、彰化縣、南投県、雲林縣および中部の主要市

(5) 台湾東部:花蓮縣、台東縣(現在は記事が無いので分類未作成)

(6) 台湾南部:嘉義縣、台南縣、屏東縣、高雄市など主要市

(7) 台湾島嶼部: 金門島など(現在は記事が無いので分類未作成)

 

2. 展示機の主体はF-104およびF-5であり、初等練習機PL-1、T-28をベースに開発したT-CH-1(A-CH-1,R-CH-1を含む)、自国開発のジェット練習機AT-1「自強」、輸送機や対潜機の展示は少ない。戦闘機は1980年初頭のF-100の退役、1990年代のF-104G/Jの退役、そして現在に至るF-5E/Fの退役の三つの時期を中心として全国各地の小さな公園や広場などへの用廃機の供給があり、展示機化が進んだ。第三次台湾海峡危機(1995-1996年)により国防強化が推進された影響も大きいと考えている。公共の公園等で野ざらし状態で展示されていたF-100の数機は老朽化により撤去されたり、F-104やF-5へと置換されている。展示装備は最下段で後述する三軍陳展装備列表にて確認できる。

https://scidm.nchc.org.tw/dataset/best_wish72435

 

3.台湾には親日派が多く、日本語を話す人も多い。また日本各地から直行便があるほか、いくつかの空港からはLCC便もある。さらに物価も日本に比べて6~8割程度であり、食事も日本人好みで美味しいものが多く、大変行き易い場所だ。主要観光都市にはドミトリータイプの宿も増えてきた。このため滞在費用をケチって何度も訪問するのにも手ごろな訪問先である。忙しいサラリーマンでもLCCを利用して週末にチョコチョコと訪台し、用廃機コレクションを増やそうじゃないか。なお本Blogでは通貨単位:元を新台幣の英語略称であるNTD(New Tiwan Dollar)と記載する。 

4. 台湾では中規模な都市であればたいていの駅周辺でスクーターを借りることができる。中にはパスポートと引き換えに貸してくれる店もあり、辺鄙なところに行くときには大変便利な存在だ。ただし事故を起こした場合には保険は適用されないと思われる。レンタルスクーターに関するHPを自ら探してよく読んだうえで、適切に利用していただきたい。

 

【主な展示場所】 

一般人が訪問可能な主な展示場は次の通りだが、第三位以下の展示場所には航空機が3機以下しか展示されていない。近隣の観光を含めて訪問しやすい場所、珍機がある場所などをいくつか紹介する。(詳細は各紹介記事を参照)

1)  台湾南部の岡山の空軍博物館(教育参考館)および軍史館(閉館)前の展示場(規模の上で台湾一)

2) 台湾中部の渓湖軍機公園。住宅街の真ん中にある公園でC-119、F-104、F-5、F-100の4機がある。徒歩圏内にもう一か所の展示場がありR-CH-1機が展示されている。 

3) 台北・樹林駅近く(台北観光のついでに手軽に行ける)

4) 桃園駅周辺(駅近くのF-5F, 大園の頭村軍史公園および龍潭運動公園)

5) 新竹駅周辺(RF-104G展示場、F-5E展示場、そして新竹基地撮影) 

5) 台中周辺(駅近くの公園、大学構内およびCCK基地周辺)

6) 彰化の八卦

7) 大学、高校など各種の教育機関(主に公開時や事前許可を受けた場合)

8)  軍関連施設(公開時)および忠烈祠(軍事墓地)

9)  その他

 

 【航空ショー】

<空軍基地祭> 

1.台湾空軍基地は次の場所にあり、毎年8月14日の空軍節(空軍記念日)を中心として少なくとも一か所の空軍基地が公開される。近年では空軍節に一ヶ所、秋に一ヶ所の空軍基地にて一般開放活動が行われている。

<基地所在地>松山、新竹、台中(CCK)、嘉義、台南、岡山、屏東、花蓮、台東 

2. 陸海空軍基地の公開予定は例年12~3月にかけて関係するサイトで公表されている。「全国知性之旅」と「営区開放活動」のキーワードで検索すると引っかかるだろう。各公開活動の詳細はおおむね開催の一か月程度前に公表される。 

3. 日本人を含む外国人(外籍人という)が台湾の基地祭を訪問するためには、指定日までに必要時事項を所定の担当者宛に送付もしくはE-mailにて送信し、事前登録する必要がある。登録の詳細は開放活動の約一か月前に公表される詳細情報に記される。2019年の際にはパスポートの顔写真のあるページを担当者あてにE-mail送信すればよいことになっていたが、中国語のみの案内しかないため掲載文をすべて自動翻訳にかけて内容を理解する必要がある。また詳細情報公表後、1週間から10日程度で登録締切となるので迅速に対応しなくてはならない。過去の登録情報を探し出し、どのようにしていたかを事前にある程度確認しておくとよい。 

4.8月14日は空軍節(空軍記念日)。この日は侵略してきた日本軍機を初めて撃墜した記念日なので、私達日本人が訪問するには少々気が引けるかもしれない。ここ10年ほどの間の空軍節前後に予定された空軍基地公開の中止・変更確率を調べてみると六割を超えている。すなわち前述の通り12~3月ごろに発表された日程の半分以上が主に台風により中止もしくは延期されているのだ!「ちょうど夏休みだから台湾の航空ショーに行こう!」という気持ちは判るのだが、このリスクを十分承知したうえで航空券の予約を入れ、事前登録するようにしてほしい。 

5. 基地開放活動時には通常は最寄りの主要駅などから有料または無料のシャトルバスが運行される。空軍サイトでは発表しない地域のバスが臨時増便したり、既存路線が当日だけ基地門前に臨時に寄り道するというケースもあるので、地元のバス会社のサイトやバス停の張り紙なども含めて、事前情報の収集に努めていただきたい。

 

国慶節・双十節

 毎年10月10日は総統府の前でパレードが行われる。このとき北側(円山大飯店方向)から軍用機が数編隊フライパスする。大きな青天白日旗を吊り下げたCH-47を先頭にしていくつかの編隊が通過し、最後は雷虎小組が締めるパターンが一般的だが天候等により変更・中止もある。

 

【スポッティング】

1. 台湾では軍事基地の撮影は禁止されている。その根拠となる法律は2002年4月公布の要塞堡塁地帯法第4条の1、第5条の1だ。罰則は第9条で1年以上7年未満の禁固刑。過失ならば禁固1年未満か罰金500元となる。

https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=F0070001

しかし「空を撮っている分には問題視しない」という運用をしており、事実上スポッティングを行うことが可能となっている。 

 

<お願い事項>

ここで私からは読者の皆様に次の「お願い」をいたします。

(1)不要なトラブルを避けるため地上構造物は撮らないこと。

(2)地上構造物を含む写真は撮影できた場合でもSNSを含むすべての媒体で公表しないよう自重すること。(注:背景が空、山、一般家屋である場合は問題ありません。また基地公開の際には建物・構造物ができるだけ写らないようなご配慮をお願いします。)

 日本国内において皆様が撮影された写真の公表を禁ずる法的根拠はありませんので、この「お願い」に強制力はありません。「そんなお願いなんて聞く耳持たねーよ」と言われればそれまでです。

 しかし公表されれば台湾当局は調査しなくてはなりません。台湾内では台湾の法令に基づいて罰則が適用されますが、海外居住者が発信している場合には当然ながら台湾の法律は適用ができません。その対策として台湾当局は一律に「台湾内での撮影禁止」とし、かつ基地周辺での「不審者」の取締まりを厳しくすることができます。

 自らの公表行為によって、その後の多くの方々の楽しみを奪う結果とならないよう、ご配慮いただければ幸いと思う次第です。

   

2.民間機専用空港(桃園空港、高雄空港)の撮影は基本的に可能です。

 

【参考文献(日本語)】 

「中正航空科学館」山本晋介、航空情報1989年5月号、記録不備のためページ数不明

「台湾の展示機シリーズ第1回 特別編・フォルモサに憩う日本的星式戦闘機」大路聡、航空ファン2009年7月号p.76-81

「台湾の展示機シリーズ第2回 航空科学館と台湾北部の展示機」大路聡、航空ファン2009年8月号p.70-75

「台湾の展示機シリーズ第3回 台湾西部の展示機(前編)」大路聡、航空ファン2009年9月号p.72-75

「台湾の展示機シリーズ第4回 台湾西部(後編)、南部、東部の展示機」大路聡、航空ファン2009年10月号p.74-79

「台湾の展示機シリーズ第5回 空軍軍機展示場の展示機」大路聡、航空ファン2009年11月号p.72-78

「(所有していないため不明)」大路聡、航空ファン2010年12月号p.-

「「台湾の展示機」差分2012編」大路聡、航空ファン2012-2013年月号p.80-84(記録不備のため年月不明)

「出爐!航空教育展示館」大路聡、航空ファン2016年6月号p.66-73

「中華民國空軍軍官學「空軍軍士館」と「軍機展示場」の現在」大路聡、航空ファン2016-17年月号p.70-75(記録不備のため年月不明)

 

【参考サイト】

1) 台湾の展示機の紹介記事多数;

https://www.shop2000.com.tw/sunhuatravel/product/p23487820&fr1=msg

 2) 撮影記録的なBlogだが、掲載量が多いので参考になる。

https://eric-aviation.blogspot.com/?m=1

 3) その他はairliners.netおよびSpottingmode.comを参照する。

 4) 台湾国防部では全国民の国防教育のため、退役装備等の展示場所の一覧表を公開している。訪問前には一読をお薦めする。「三軍陳展装備列表」で検索すると良い。なお軍事基地内の展示物は含まれていないことと古いリストには空軍機が掲載されていなかったり、民国108年版(2019年版)でも数件の記載漏れがあったり、F-5Fの展示機がF-5Eと記載されていたりするので100%信用してはいけない。

三軍陳展装備列表はコチラ:https://scidm.nchc.org.tw/dataset/best_wish72435

5) オランダのサイトだけれど、教育施設内の展示機写真多数あり

AVIATIONTAIWAN | aviationtaiwan.jouwweb.nl

 

以上