用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

インドネシアにおける展示機の概要

<編集履歴> 28May.2019公開、13May.2021見直し更新(第5回目、文献追加)

【概要と特徴】

1. 「この国では正確なコトは判らない」

このことを肝に銘じて旅をして欲しい。時間、値段、開館時間、閉館日etc.は「一応」記しておくが、全て「目安」と考えれば腹が立つことも少なかろう。おおらかな心をもって出かけよう。

 

2. 展示機の分布

 インドネシアは大小13,466の島々から構成されており、これを守るため全国各地に大小の軍事基地が存在している。その基地のゲートガードや基地周辺の公園や博物館、あるいは大きな交差点のモニュメントなどに機体を展示する場合がある。この結果、そこかしこに展示機が存在するという状況になっている。とはいえ、やはり人口の多い都市周辺に展示機が多い。首都ジャカルタや第二の商業都市スラバヤのあるジャワ島内での展示機が最も多く、次いでスマトラ島内各地、カリマンタン島の大きな町が訪問しやすい場所だろう。ジャワ島内の各都市を結ぶバスの便は発達しており、(世界的に見れば)旅行しやすい方だ。スマトラ島内も大都市間の移動は比較的容易だが北西端のアチェ州や地方では政情が不安定なので渡航情報などに目を通してから出かけるようにして欲しい。

 

3. 展示機撮影

 基地内部に展示された機体は原則としては撮影禁止だ。ゲート脇や道路に面して展示された機体は極めてグレーな位置づけにあり、一般的に撮影可能な機体から衛兵の気分によって撮影可否が決まるようなものまで様々だ。例えばJakartaのCawangにあるC-47AやHalim空軍基地正門前に展示されたF-51Dは撮影可能だ。一方でSurabayaのHawkは地元民のBlogにもほとんど写真が掲載されておらず、撮影が禁止されている可能性がある。

 

4. その他

1) 博物館等の開館時間、閉館時間、料金はかなりアバウトで、ネット記載情報とは大きく異なることが「よくある」。開館時間は9時と記載されていても7時には中庭に入り、屋外展示物を撮影することが可能な場合がある。また閉館時間が15時と記載されていても16時過ぎまで中庭に居ることが可能な場合がある。入場料金はせいぜい数千IDR~2万IDRのことが多いが、ネット記載料金と大幅に異なることも「よくある」ので、本Blogに記載した料金と異なっていても気にしないコト。一般的には「外国人料金」は高くなることが多いが、Malang(Batu)のMuseum Angkutのように逆に安くなることもある。

2) 2018年ごろにインドネシア観光協会に某博物館の状況を訊ねたところ、「この国では正確なコトは判らない」という旨の正式回答があったコトがある(爆笑)。巻頭言の繰り返しとなるが、そういう国だと思って訪問して欲しい。記事中で断定的な表現をしていることもあるが、決して「その通りである」とは考えないで欲しい。

 

【主な展示場所】

1. 1950年代から60年代半ばにかけて共産主義国家であったため、軍では「東側」の機体を装備した。このため必然的に東側の機体(MiG-17など)が展示機となることが多かったが、2000年代後半ごろより退役した次世代機(A-4、F-5E/F、Hawkなど)と交換されたり、新規の展示が行われている。

2.  Jakartaに軍事博物館、ジョグジャカルタに空軍博物館があり、多くの展示機を一度に見ることができる。

3. JakartaとSurabayaにはB-737をレストランにしたものが存在する。またジャワ島内のいくつかの遊園地には民間旅客機が展示されている。

4. JakartaのTMII、Malang(Batu)のMuseum Angkutには民間機の展示機が多い。

 

【航空ショー】

1.  数年に一度程度の頻度で各地の航空基地で公開が行わている。展示機は触り放題。その機体を飛行展示にも使用する。飛行に際しての観客ライン設定は極めておおらかで、タキシングする機体にギリギリまで接近できるケースが多いように思える。ロープは無く、自主規制ラインだ。

2.  Elang Biru(青い隼、ただし英名はBlue Eagle)という臨時チームが存在する。1996年に開催されたJakarta国際航空ショーにて青地に黄色のストライプの入った6機のF-16からなるチームが出場したのが一般に知られるようになった初の事例だ。2013年9月より導入されたT-50iは最初の数機がElangBiru塗装とされた。このうちの一機は2015年12月のジョグジャカルタ基地での公開演技中に墜落し、パイロットは死亡した。

3.  マレーシアの航空ショーLIMAなどにKT-1によるJupiterチームが参加している。2015年3月にはLIMAでショー直前の練習中に対進科目で空中衝突を起こし、二機が墜落する事故を起こしている(パイロットは脱出して無事)。このチームの国内での活動実績は不明。

 

【スポッティング】

原則として撮影禁止。 

 

【参考文献(日本語)】

(1) 「零戦、隼もある インドネシアの航空博物館」写真:青木潤、文:石川潤一、 航空情報1997年3月

(2) 「ジョグジャカルタにも日本機があった インドネシア空軍博物館」小林昇航空ファン2001年6月号p.110-113

(3) 「インドネシアの展示機」山本晋介、航空情報2015年6月号p.68-69

(4) 「インドネシア空軍中央航空宇宙博物館・前編」大路聡、航空ファン2017年6月号p.74-79

(5)「インドネシア空軍中央航空宇宙博物館・後編」大路聡、航空ファン2017年7月号p.72-77

(6) 「インドネシア国軍博物館」大路聡、航空ファン2017年12月号p.76-81。p.76下の93式中練の写真は私が撮影したものだが、クレジットが「普介」になっている。「晋介」が正しい。

(7)「インドネシア空軍中央航空宇宙博物館の新規展示機とジョグジャカルタの展示機パート2」大路聡、航空ファン2019年2月号p.72-77

 

【参考サイト】

(1) 国内各地を走るミニバス・アンコタ・ミクロレッの路線番号とコースを記したサイト。トップページが判らないので、最新版なのかどうかも判らないが、2019年にSurabayaとMalangで利用した際にはほぼ路線図通りだった。都市部の辺鄙な場所に行くにはとっても便利。https://angkot.web.id/#/

(2) 鉄道旅行のヒント(日本人による日本語サイト)はこちら。時刻表も掲載。掲載した方も書かれているが、この時刻通りに走ることは「絶対に」あり得ない。

http://omdoyok.web.fc2.com/Ah_Indonesia/Aind-12/Aind-12.htm

(3) その他はairliners.netやJETPHOTOS.comおよびSpottingmode.comなどを参照し、随時情報を入手する。

以上