用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

【ハノイ】軍事歴史博物館

<編集履歴> 22Apr.2019公開、29Jan.2022見直し更新(第3回目、体裁見直し、写真追加)

<場所 Place>       軍事歴史博物館 Bao Tang Lich su Quan su Viet Nam

<座標Location>       21.0323N, 105.8401E

<訪問日 Visit>  08Jan.2012, 30Sep.2018ほか

<行き方 Access>

(1) ハノイ市内にあり、市バスあるいはタクシーを利用。 

<解説General> 

(1) ベトナム国内では防空・空軍博物館(別項)に次ぐ規模の航空機展示場所で全機展示機が10機と複数の機体の残骸を集めたモニュメントがある。 場所は直線でハノイ駅の北北西約500m付近にある。道なりに行っても約900m、徒歩で20分程度で行ける。開館時間は火、水、木、土、日の0800-1100、1300-1630。月、金は休館。入場料は40,000VND。カメラ持込み料金30,000VNDを取られる人と取られない人がいるようで、私は取られなかった。

(2) 展示されているMiG-21が2014年に国宝に指定された頃から、入口にあるMiG-21と裏庭にある5機(こちらにも国宝指定のMiG-21がある)の上部に青色半透明の屋根が設けられた。このため熱帯の太陽と雨を防げるようになったものの、機体には青色の光が回るようになり、写真的には好ましくない状況となってしまった。また屋根が設けられたことによりGE-Proなどの衛星画像で機体を確認できなくなってしまった。なお中庭の機体と残骸のモニュメントは野ざらしのままなので2022年1月末の時点でも衛星画像で確認することができる。

【展示機】

(1) MiG-21PF(4324)  この機体はベトナム戦争中に14機を撃墜した機体で2014年に「国宝」に指定されている。ただしこの機体に搭乗して敵機(米軍機)を撃墜したパイロットは複数名だ。2012年訪問時には屋根は無かったが国宝に指定された頃から、展示機の上を覆う青色透明の屋根が設けられた。軍事歴史博物館の入口にあり、ハノイ観光の撮影名所の定番となっている。ベトナムに輸出されたMiG-21PFはレーダー(locator)が異なるのでMiG-21"PFL"と称されることがあるが、本Blogでは”PF”と記載する。

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写真1 博物館正門脇に展示されている国宝のMiG-21PF(4324)。機首と翼端の日が当たる部分がオリジナルの塗色だが、屋根の青色が投影され全く異なった塗装の機体に見える。(2018年9月30日撮影)

 

(2) 中庭の機体と残骸のモニュメント

中庭展示機は野ざらしのままだが観光用に塗り直されているため、資料価値はほとんどない。これらの機体はGoogle Mapの衛星写真で確認できる。 

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写真2 フラッグタワーより撮影した中庭の展示機。狭いスペースにゴチャゴチャと置かれている。(2018年9月30日撮影)

 

(3) IL-14T (C-482) 胴体後部に"C-482"と書かれているが本当の番号ではなく、元はVN-C516とされる。

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写真3 中庭のIL-14。左隅にはUH-1Hがある。(2018年9月30日撮影)

 

(4) UH-1H (67-17651) ベトナム戦争の展示物の代表格、アメリカ軍のUH-1H。

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写真4 IL-14の脇に置かれたUH-1H。後ろはフラッグタワーだ。(2018年9月30日撮影)

 

(5) ダグラスA-1E Skyraider (Bu.132436)(左)とA-1H(Bu.134636)(右)。

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写真5 フラッグタワーより撮影したダグラスA-1E(左)とA-1H(右)。(2018年9月30日撮影)

 

(6) M-48戦車004号車と撃墜機と墜落機を合わせて作ったモニュメント。「撃墜機」と表現しようと思ったがJ-6(中国製MiG-19)の胴体部分が含まれているので「撃墜機・墜落機」という表現をとることにした。少なくとも次の9機の破片が含まれていると言われているが、退色したり一部は移動されたことで証拠となる機番が見えなくなったりしており、全てを確認することはできない。B-52D(56-0608), U-3A(S/N?), A-37B(69-6349/南ベトナム空軍機), C-47A(43-15466), F-111A(67-0060), F6F-5(239), F-4B(Bu.149448), F-105D(61-0061), J-6(1018, 中国製MiG-19).

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写真6 中庭にあるM-48戦車と撃墜機・墜落機のモニュメント。(2018年9月30日撮影)

 

(7) MiG-21MF (5121) 裏庭に展示されているMiG-21も2014年に国宝に指定されている。こちらも2014年頃から青色透明の屋根が設けられた。

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写真7 こちらも国宝に指定されているMiG-21。機首付近の男性は私の滞在時間中ずっと柵につかまりイヤホンで音楽を聴いていた。日本語で「どいてくれ~!」と念じ続けたのだがベトナム人には通じなかったようだ。(2018年9月30日撮影)

 

(8) MiG-17F(2047) 7個の撃墜マークを記している。S/N"2047"は本当のものではないとされている。

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写真8 裏庭の展示機は入場してから広角レンズで見上げるようにして撮影するか、手前の柵があっても中望遠レンズで抜くか。これは道路から中望遠レンズで撮影した場合の作例だ。近くには基地ゲートがあり、そこまで行くと撮影禁止だと注意されるが禁止されるのは基地の撮影であって博物館展示機ではない、と私は理解している。(2018年9月30日撮影)

 

(9) F-5A (71-0266) ベトナム戦争の証として展示される米軍機の定番。観光用に塗り直されており、資料価値はない。描かれたS/N”71-0266”は本当のものではないが、本当のS/N自体は不明とされている。

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写真9 裏庭のCH-47Aの機首付近から撮影したショット。手前からF-5A、MiG-21MF、MiG-17F、そしてA-37Bが見える。(2018年9月30日撮影)

 

(10) A-37B(69-6353) こちらもベトナム戦争展示の定番となっているA-37Bで、F-5同様に観光客向けの塗装になっている。垂直尾翼に”43198”と描かれているが本当のS/Nは”69-6353”だ。

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写真10 A-37B。インテイクにある異物吸入防止用ネットがよく見える展示方法なので、訪問したらジックリと観察しておこう。(2018年9月30日撮影)

 

(11) CH-47A(66-19082) ベトナム国内に展示されるCH-47Aは、私の知る限りでは本機のほかにダナンの戦跡ツアーとHCM市の戦争証跡博物館にしか存在しない珍しい機体だが、これも観光客向けの塗装となっている。尾部エンジンマウント部に描かれたS/N"19082"は正しいものとされている。

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写真11 CH-47A。(2018年9月30日撮影)

 

以上