用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

中国における展示機の概要

<編集履歴> 11Feb.2019公開、31Dec.2023見直し更新(第5回目、見直し写真追加)

 

【はじめに】

 コロナ禍が収まりかけてきた時期ではあるが、中国は事実上の鎖国政策を行っており、訪問することが極めてメンドウになってきた。観光のために訪中するには、まず、ビザが必要だ。ビザの申請には様々な個人状況を記載しなくてはならないが、その内容が尋常ではナイ。中国に渡ると、現金はほとんど使えない社会システムになっている。かといってカードも中国国内で発行されたもの以外はほとんど使えない。コロナ禍以前のように、フラリと訪中して、機体を撮影したら戻って来るという、気軽な旅行が出来なくなってしまったのだ。イヤらしいことにスパイ防止法が強化され、さらには現地の隠れマニアの投稿控えるよう、当局からの声明があった(2023年12月)。そんな中でのこの中国関連記事に、どれだけの需要があるかというと、恐らくはゼロに等しいことだろう。かつてはこのような展示物を見ることができたんだ、という記録になれば良いかと考えている。(2023年12月31日記)

 

【概要と特徴】 

(1) 中国国内には公開・非公開合わせて700ヶ所以上の用廃機展示場が存在する。中国航空博物館のように200機程度が展示されているような超大型博物館から地方の道端に1機が置かれているような場所まであるが、平均すると一か所に1~2機程度だろう。これまで訪問した場所の数も多いので本Blogでは東北、華北、華東、華中、華西、西北、西南のエリアに分類して展示場所を紹介する。

1) China(中国総合、まとめ、雑):中国全体にかかる話など

2) China(中国華北):北京、天津、河北、山西、内モンゴル
3) China(中国華東):上海、山東、江蘇、浙江、安徽、江西

4) China(中国華中):河南、湖北、湖南

5) China(中国華南):福建、広東、海南、広西チワン族。なお香港と台湾は別カテゴリとする。
6) China(中国東北):黑龍江、吉林遼寧
7) China(中国西北):陝西、甘粛、青海、寧夏回族、新疆ウイグル。なお2021年11月17日時点で記事が無いのでサイドバーに表示されていない。
8) China(西南):四川、貴州、雲南重慶チベット

(2) 博物館以外の公共施設に展示された機体はその後の手入れが行われることが少ないように思われる。展示情報を得たら出来るだけ早く、機体が綺麗なうちに訪問するのが鉄則だ。(ただし全く手入れが行われないワケでもなさそうだ。)

(3) 中国各地では(減速感が漂うとはいえ)再開発が進められており、街の一角全てが消えて整地されてしまうことがある。GE-Proの衛星画像更新を上回る速さで街が消えるので、訪問して機体が撤去されていたら素直に諦めよう。

(4) 中国では、博物館を建設しても、数年で取り壊してしまうことが時々ある。時には建設中、もしくは建設直後の公開前の状態であっても、都市計画変更などの理由によって、取り壊されてしまうことすらあるのだ。このため展示機情報を得たら、可能な限り早い時期に訪問するようにしよう。

(5) そもそも、どうしてこんなところに展示場を作ったのか?という場所に機体を展示したというニュースが流れることがある。経済的に急速に裕福になった者が散財して庭園や博物館を造ったものの、すぐに凋落して機体は撤去されるという流れがあったようだ。2015年ごろ以降には下火になった感じがある。「成り上がり者」が減ってきたのと、少しは金の使い方を覚えたからではないかと個人的には思っている。

(6) 中国の地名や展示場所の表記に関する本Blog上での取り決めを別記事に記す。

本Blogにおける中国語の地名や展示場所名の表記について - 用廃機ハンターが行く!

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写真1 北京近郊の中国航空博物館の展示館内の様子。(2011年11月5日撮影)

 

【主な展示場所】

(1) 別記事「【参考】用廃機の探し方」で紹介しているspottingmode.comのサイトの登録数を見ると広大な国土を有する中国には軍事施設内、空軍博物館、地方の博物館(私営博物館)、公園、教育施設、遊興施設など700ヶ所以上がリストアップされている。 

【基礎編】用廃機の探し方 - 用廃機ハンターが行く!

(2) 一般の方が見学できる代表的な展示場所を上げるならば次の8か所だろうか。

1) 中国航空博物館(北京)

2) 中国人民革命軍事歴史博物館(北京)

3) 中国民航博物館(北京)

4) 瀋飛航空博覧園(瀋陽

5) 海軍博物館(青島)

6) 上海航空普科館(上海)

7) 東方緑舟(上海)

8) 柳州市軍事博物館(柳州市)

 

【主な展示機】

(1) 約4,000機が使用され、既に全機が退役したJ-6系列(MiG-19の中国生産機、Q-5や派生機DF-102を含む)とJ-5系列の展示機が最も多いように思われる(正しく数え上げた訳ではなく、私の感覚です。)

(2) ついでH-5(Il-28)、An-2あたりだろうか。H-6の展示は比較的レアだ。

(3) 2021年12月8日時点での私の感覚的な展示機数はJ-7は全国で100機程度、J-8I系列は数十機程度、J-8IIは数機程度だ。だがJ-7は近年J-10/J-11などとの更新が進み、用廃機が増えたことから2010年ごろから展示機が増加しているように見える。  最新のJ-10、J-11(Su-27)などは数機程度が博物館やメーカー関連施設にあるほか、実物大模型が全国に10機程度展示されている。

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写真2 中国における屋外展示機の代表格であるJ-6戦闘機。(2010年3月20日上海航空科普館)

 

【航空ショー】

(1) 西暦軍数年の11月中旬に広東省珠海空港で国際航空ショーが開催される。

(2) 長春では比較的高い頻度で航空ショーが開催される。ただし国内向けの模様。

(3) 西暦奇数年の秋ごろには天津近郊でヘリコプターショーが開催される。陸軍系ヘリコプターを撮影できる機会とされている。

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写真3 K-8による紅鷹飛行表演隊。(2019年11月8日、珠海航空展)

 

【Spotting】

厳禁。珠海空港で開催される国際航空ショー参加機の離発着のみは撮影可だが、今後当局の指示次第で変更されることがあり得る。

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写真4 空警200が上空を通過する。(2014年11月15日、珠海航空展)

 

【注意事項】

(1) 中国にはスパイ防止法がある。

 日本の感覚で撮影すると通報・逮捕され、政治的に利用される可能性もあるので行動は慎重に。

(2) 外国人立入り禁止のエリアや施設がある。

 ただし、これはネット上の情報では判らず、現地に行って追い返される場合と、ロクな身元確認をせずに入場・見学できてしまう場合がある。そして入場・見学したあと出場する段階になって「怪しいヤツ」と拘束され、取調べを受ける可能性がある。基地内展示物や軍事博物館の場合には注意が必要だ。上述のスパイ防止法により日本人が逮捕・有罪判決を受ける例が数件発生している。こと軍事関連施設脇の展示機については極めてグレーな存在もあるので現地でダメそうだな、と感じたら潔く諦めるくらいの気持ちで訪問しよう。

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写真5 J20のデモフライト。(2018年11月11日、珠海航空展)

 

【その他】

1. 市内バス路線の確認方法

1) 検索エンジン(できれば百度)の地図で目的地周辺のバス停を探す。百度ならバス停をクリックすると通過する路線が表示される。

2) 検索エンジンに戻り、「都市名」、「公交」「"路線番号"路」を入れて検索すると路線情報が現れる(検索例:「天津」「公交」「127路」)。中国のサイトならば大抵は路線図とバス停名、始発時間、終発時間、運行頻度、料金が表示されるハズだ。

3) 中国語のアプリを使いこなせる方はそちらを利用すると便利だろう、きっと(私は使えない)。

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写真6 広州市内の市バスターミナル。(2016年11月6日撮影)

 

【参考文献(日本語)】

「上海で見るJALDC-8」大路聡航空ファン2014年7月号p.80

【参考サイト】

airliners.netおよびSpottingmode.comを参照する。

以上