用廃機ハンターが行く!

アジア各地に転がる用廃機を見に行くためのガイド(?)

韓国における展示機の概要

<編集履歴> 31Jan.2019公開、09Nov.2023見直し更新(第9回目、リンク追加)

 

【概要と特徴】

1. 韓国では狭い国土にも関わらず、一般公開・非公開合わせて全国で約300ヶ所近い用廃機展示場がある(2020年10月14日時点のspottingmode.com登録数は294ヶ所)。この数には基地内に置かれたデコイの数を含んでいるので、実際には200ヶ所程度だろう。さらに非公開の基地内展示機や教育施設の実習機を除いて、一般の日本人が訪問可能な機体展示場所となると100~150ヶ所程度かと思われる。

 

2. 韓国各地には以前から展示機が存在していたが、特に2000年代初頭ごろからナショナリズムが高まった時期にF-4DおよびT-37C/A-37Bの運用が終了し、またF-5E/F部隊の一部をFA-50に更新したことによって多くの用廃機が発生したため、2000~2010年頃には各地で展示機が設置された。2020年の時点でなお大学などの教育関連施設内への機体展示の数が増えているようだ。ちなみに引退したF-4D/E/RF4Cはデコイを含めて70機近くが基地内外に存在しているが、先に引退したF-4Dを各地に設置したため、F-4Dの次に引退したF-4Eの展示機は比較的少数という結果を生んでいる。一方で展示後数年で撤去された例も散見されており、機体展示は一過性のブームと見ることができるかもしれない。

 

3. 忙しいサラリーマンでもLCCを利用して週末にチョコチョコと訪韓し、用廃機コレクションを増やすことが可能だ(コロナ後にどうなるかは不明)。韓国内の移動にかかる費用は安く、宿もバスターミナル周辺の「旅館」や「荘旅館」を利用すれば一泊35,000W程度以下に抑えることができる。ただし若干のハングル語をできないと難しいかもしれない。訪問に際してはハングル文字を読めること、助詞・助動詞を理解すること程度の語学力を推奨する。なお本Blogでは通貨単位ウォンを”W”と記載する。

 

4. 2018年ごろからいくつかの問題により対日感情が悪化しており、邦人観光客が嫌がらせを受けた旨の報告もある。しかし韓国への旅行者全体からみれば気にするほどのことではない(2019年7月22日時点)。

 

【主な展示場所】

(1) 済州島の空軍博物館(規模の上で全国一)

(2) ソウルの戦争紀念館(ソウル市内で最大規模の展示場かつ訪問容易)

(3) ソウルの国立航空博物館(2020年7月5日開館、訪問容易)

(4) ソウルのボラメ公園(7機が展示され、訪問容易)

(5)  サチョン(泗川)の航空宇宙博物館(アジア唯一のB-29展示場)

(6)  清州の空軍博物館(事前予約の無料見学ツアーに参加するが撮影時間は少ない)

(7)  大田市周辺(国立墓地、市役所周辺、博物館など)

(8)  務安ミリタリーテーマパーク(韓国南西部では規模の大きな展示場)

(9) 朝鮮戦争時の戦跡地、対北関連施設(展示機はせいぜい1~2機程度)

(10)  大学、高校など各種の教育機関

(11)  軍や軍人将校と関連のある公園や施設(展示機はせいぜい1~2機程度)

(12)  個人所有物・集客用展示物

(13) 航空部隊のある基地周辺の展示物

(14)  その他

 

【航空ショー】 

(1) 二年に一度、西暦奇数年の10月後半にソウル近郊のソンナム基地で国際航空ショーが開催される。会場からの撮影は自由だが会場西側(基地側)での外撮りは注意される。詳細は別稿参照のこと。

【撮影ガイド】ソウルエアショー - 用廃機ハンターが行く!

 

(2) 二年に一度、西暦偶数年の10月最終週末頃にサチョン基地でエアショーが開催される(注:2023年より開催年の基準が変更されている)。フライトを含めて日本の小さな基地祭レベルの展示があり、会場内の撮影は可能だが、反対側の基地方面の撮影は制限される。詳細は別稿参照のこと。

【撮影ガイド】サチョン(泗川)エアショー - 用廃機ハンターが行く!

 

(3) 毎年4月~6月頃にかけて「スペースチャレンジ」と称する「子供むけ」のイベントが各空軍基地で開催される。基地内で模型飛行機を作って飛ばすというイベントで、全国各地の「予選」とソウル近郊での「本選」がある。日本で1990-2000年頃に行われていた「チビッ子ヤング大会」のような「当該基地限定オープンデー」のようなモノだと思えば良いだろう。会場の「脇」には基地所属機や飛来機が地上展示され、お昼前後にはBlack Eaglesのアクロも実施される。残念ながら基地内撮影は禁止。日本人(外国人)観光客は入場できない可能性が高いが2019年には「在留外国人は参加可能」との一文を見つけている。BlackEaglesを狙い、基地から少し離れた外周から「空を撮る」分には問題無さそうだ。

 

(4) 毎年5月5日は韓国でも子供の日。ソウル市ボラメ公園ではビルを背景にUH-60が救難展示を行うことがある。またこの日は全国各地でヘリコプターの救難展示などを行うことが多いようだ(2000年前後の状況)。

【ソウル】ボラメ公園 - 用廃機ハンターが行く!

 

(5) 韓国空軍特殊飛行隊Black Eaglesは月2-3回の頻度で各地のイベントで展示飛行を実施している。予定は公式HP、Facebookなどで確認できる。

 

(6) 各地の小型機用飛行場にてローカルエアショーが開催されることがある。韓国空軍や陸軍ヘリコプターが参加することもあるので適宜チェックが必要だ。

 

(7) 在韓米軍基地のうち、オーサン(烏山)基地では9-10月頃の土日二日間に「AirPowerDay」を開催する。毎年企画されているようだが、実際には政治的状況によって中止されることも多いため、2~3年に一度の不定期な開催となっているのが実情だ。日本人でもパスポートを見せれば入れるが、前述の通り、政治状況に極めて敏感に左右されるので、訪問する際には必ず事前および直前にも開催の有無と入場条件を確認しよう。 極端な話だが「本日の公開は昨日に中止が決定されました」ということがありうる航空ショーだ。

【撮影ガイド】オーサン基地Air Power Day - 用廃機ハンターが行く!

 

【スポッティング】

 韓国では軍用機や軍用施設の撮影は禁止だが、ネット上には外撮り画像が存在する。かつて南部の基地で撮影して拘束され、ソウルに連行されたのち「笑顔で注意されて」解放された方がおられるという伝説がある。私自身もデグ(大邱)やスウォン(水原)で着陸する戦闘機を眺めている最中(危ないコトは承知なので、見るだけにしていた)に監視対象となったり、しばらく関係者(?)の尾行を受けたことがある。車がやってきて中の人物がずっとこちらを見ているとか、体格の良い人物が何度か近くを通り過ぎるとか(農道でほとんど人通りがない場所なので、かなり不自然)・・・。それでも撮りたい方は自己責任にて。

 

【参考文献(日本語)】

参考文献数が多いため、別記事にまとめた。

【参考・まとめ】韓国の展示機およびエアショーなどに関する文献(国内記事のみ) - 用廃機ハンターが行く!

 

【参考サイト】

(1) 韓国内各地で撮影した機体やその他多くの写真を確認できる韓国人のサイト。投稿者はAirliners.netにも投稿している。https://blog.naver.com/jhk2513

(2) airliners.netおよびSpottingmode.comを参照する。

(3) 韓国の地名や通りの名称などを漢字変換する際のお助けサイト。韓国語サイトなので、ページを自動翻訳しながら使ってみよう。

https://hanja.dict.naver.com/#/category/address

以上